American lemonade
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「キックオフリターンタッチダァァウン!!」
そんな実況が会場に響き渡る中、
ロデオドライブでフィールドを駆け抜けていった りっくんの背中を見て
りっくんは、やっぱり強いなぁ。
なんて そんな当たり前のことを思う。
『最強のライバルのつもりで、プライドに賭けて セナに勝つ!』
あの体育祭の日、土手の曲がり角でその言葉を聞いた私は そこから動けなかった。
ハンカチを返して
朝はうまく話せなかったから、今度は頑張ろうって思ってたのに
二人の勝負の、邪魔をしちゃいけないと思うと
何も言葉が見つからなくて。
話せることは沢山あったはずなのに、
私は 今、泥門のマネージャーで、
りっくんは次の準決勝で、勝たなきゃいけない相手で。
だから、
頑張れも言えない。
応援だってできない。
だって みんなには、勝ってほしいから。
クリスマスボウルに行くんだって、アメリカでみんなで決めたから。
「でもなセナ、俺に勝つのはまだ早いぞ」
それなのに、りっくんが負ける姿がどうしても想像できなくて。
「ボールが…!」
「やっべ、はじかれた!」
転がったボールに思わずベンチから立ち上がれば
ジャージのポケットからカサ、と紙の擦れる音がする。
走り書きのアドレスと、
『またな』
って書かれた小さなメモ用紙。
『陸が、約束の代わりになまえに渡してほしいって』とセナがそう言って 体育祭の後、部活が始まる前に差し出してくれたその紙を
ポケットの上からそっと押さえる。
あの日、また後でお話しようね、って言ったのは私で
『約束』なんて言えるほどのものでもなかったのに
『またな』
ってその言葉が、どうしても嬉しくて
貴方のくれる『次』に、つい甘えてしまう。
もしかしたら、次なんてないかもしれない。
この勝負の結末で次なんてなくなっちゃうのかもしれない。
でも、もう少しだけ、
次を待ってもいいかな…?
少しだけ、待っててくれるかな、
1通も送れなかったメールを。
「セナ、…頑張って、」
今はどうしても
貴方への言葉が見つかりそうにないから
Bobby Burns-ボビーバーンズ-
【言葉が見つからない】