American lemonade
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セナが居て、まも姉が居て、
もしかして…なんて考える間もなく、座り込んだままの女の子と視線を合わせて
目が合った瞬間に確信した。
6年前に約束した女の子が
なまえが、そこに居るって。
差し出した手に 遠慮がちに伸ばされる手を掴んで引き上げれば、昔と変わらない。
俺より少し低い背丈から
少し見上げるように、
「…りっくん…?」
そうやって、俺を呼んだよな。
変わったのは…髪の色が少し変わったくらいか。
その色を見て、相変わらずまも姉を追いかけてるのが分かる。
隣に並んでたら まるで姉妹みたいだ、なんて言えばきっと今も喜ぶんだろうな、なんて思いながら小さな手を放した。
「…怪我してないか?」
「え?」
「なんか泣きそうな顔してるから、どこか痛いのかと思ってさ」
「だ、大丈夫…!りっくんが居て、びっくりして、それで…っ」
「…じゃあ、泣き虫なのも相変わらずってことか」
思い出すように 昔と同じところを数えるたび、何故だか胸が熱くなる。
褪せるのには時間がかかるくせに
色づくのは、ほんの一瞬。
この感覚を、どうやって忘れていられたのか
俺には、きっともう分からないんだろうな と無意識に悟る。
「そ…そんなことはない、と思うけど…ほんとに、びっくりして…」
「本当、私もびっくりしちゃった!陸っくん、元気にしてた?」
「まも姉こそ。でも俺も驚いたよ。まさかこんな所で会うなんて思わなかったからさ」
「私達、今泥門高校でアメフト部のマネージャーをしてるの。セナも主務として色々と頑張っててね!」
「へぇ…あのセナとなまえがアメフト部…」
「セナとまもりお姉ちゃんが入ったから、私もやってみようかなぁって…」
一番最初に入ったのはセナなんだけどね…なんてなまえの言葉を聞いて、
あの毎日ようにパシられてたセナが…って感慨深くセナの方を見た。
「6年ぶりだね、陸……」
「あぁ、まさかセナが泥門のアメフト部にいるとはな。今 まも姉から聞いたよ。主務で頑張って…っと!!まずい。西部に合流しないと!久しぶりだけどまた今度な、セナ!!」
西部の皆が、会場から出てくるのが視界に入って 自分が遅れて来ていたことを思い出す。
でもそうか、次はセナのとことか。
次は絶対遅れられないな、なんて考えながら西部の方へ一歩踏み出した。
「!!え…陸は今、西部ワイルドガンマンズの選手なの??」
「…あぁ、でも来週の準決勝、西部VS泥門戦…泥門にセナ達がいるからって手加減しないからな」
「…うん、わかってる」
勝負を覚えたセナの顔に、笑みを強くして
それを隠す様に背を向けた俺を、この声だけが引き留める。
「…りっくん…!」
その、何か言いたげななまえの呼び声に
ゆっくり話せたらよかったんだけどな、なんて思いながら足を止めて
あの時は、
次がいつかなんて分からなかったけど、今は違う。
来週にはまた会える、
だから、たった一言
「またな、」
少し振り返ってそう言えば、
「……うん、」
全部分かってくれたように目を細めて強く微笑む。
あぁ、そういえばそうやって笑ってたな。
と
またひとつ
心に色をつけて
来週を待ち遠しく思う。
Merry Widow-メリー・ウィドウ-
【もう一度素敵な恋を】