American lemonade
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やっと来たか、って帽子を被りなおすキッドさんに挨拶をして
辺りを眺めながら やっぱ広いな、アメリカは。なんてありきたりなことを思った。
何故か騎兵隊の格好をした先輩達が、やたら暴れてる牛に追いかけられてるのを不思議に思って見ていれば、柵越しに影がかかる。
「よォ、陸。来るのが遅せぇじゃねぇかよォ」
「牛島さん、おはようございます」
遅れてすみません、と言えば んなことよりよォ…なんて肩を組まれて
どうせ ろくな話じゃないんだろうなと思いながらも、一応耳を傾ける。
「昨日聞いたぜ?お前、休み入る前に告られたんだって?しかも ふっちまうなんて勿体ねぇことしてよォ」
「…そういうの、一体どこから聞いてくるんです?」
「相手チア部じゃ筒抜けに決まってんだろォ!女ってのは喋るのが好きだからなァ!」
「…まぁ、…そうですかね」
「おいおい、今誰を」
「そのへんにしてやんなよ。陸も揃ったことだし、全体練習でも始めようや」
「じゃあ俺 準備してきます」
そう言って、キッドさんの助言に合わせるようにその場を離れて
参ったな…、なんて呟きながら思い出すのは一人だけ。
告白を断ったのは、どうせ中学の二の舞になるだけだろうと思ったのもあるけど…何かがひっかかって気が乗らなかったのも確かだ。
その時も、今も
なんか最近、よく なまえのことを思い出すんだよな。
お喋り…ではなかった気がするけどな。いや、話したそうにはしてたか。言葉選ぶのに時間かかってたからそんなイメージないだけで。
「…懐かしいな、」
なんて。こんな風に思い出すのは何かの前触れなのかと思案する。
…近いうちに偶然どこかで会うとか?…いや、ないな。
なまえの性格じゃアメフトなんて関わることもないだろうし。
片や俺はアメリカ来てまでアメフトしてるくらい、アメフト中心の生活してるんだから会うわけがない。
でも、確か約束してたっけ、ハンカチ返してもらう…みたいな。
ただの口実みたいなものだったんだろうけど、そうだな…夏までにはバイクの免許もとれる予定だし、冬のオフシーズンにでも会いに行ってみるか。セナやまも姉にも久々に会いたいし。
なんてスパイクの紐を結びなから、冬の予定をぼんやりと立てる。
そんな俺の隣へ来たキッドさんがベンチに腰かけたと思えば
「そういや、泥門さんもアメリカ合宿に来てたみたいだよ」
そのたった一言で、俺の意識を完全に持っていく。
「!泥門…?って、アメリカ戦に出てた、あの泥門ですか?」
「そ。その泥門。昨日ここに泊まってってね」
「アイシールド21は?」
「…居たねぇ。それっぽい彼は」
「ちぇ、昨日来てれば勝負できたのか」
「熱いねぇ、まったく…。でも、」
「分かってますよ。試合前にむざむざデータを取らせるような真似はしませんって」
「…まぁ、秋大会…どっかで確実に当たるでしょうよ」
「その時が楽しみですよ、今からね」
気の早いことで…なんて呟くキッドさんの声を聞きながらヘルメットの留め金に手をかければ
そこはもう、勝負の世界だ。
「すごい奴と戦えるんです。やる気にならないわけないですよ」
「…頼もしいねぇ、うちのエースは」
「勝ってみせますよ。どんなにすごい奴が相手でもね」
全てをかけて
俺は誰にも負けない。
Bloody Mary-ブラッディマリィ-
【私の心は燃えている、断固として勝つ】