折り重なる
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どこまでが現実で どこからが夢だったんだろう
隣で座ったまま眠っているなまえの横顔を眺めて
時折、街の群雄の中にタクマの姿がないか目をやりながら
なまえの目が覚めるまで、そんなことを考えていた。
全国大会はヒイロくんに負けて…
『何負けてるのよ。私まで弱く見えるじゃない』ってなまえに叱られたから間違いなく現実で
シャドウグランプリの前に海でなまえの水着姿がすごく綺麗だったから
対策バトルのお礼は写真がいいなって言ったら、ドン引きした顔で却下されたから あれも現実だろうな。
大会の途中からが曖昧で
気づいたら周りは廃墟だったし、その辺りから夢だったのかな…といつも通りの見慣れた街並みを見て思う。
世界が終わるっていうのも現実味ないよね。
なんか僕悪役っぽいうえに一緒に居たなまえの事以外覚えてなかったし…
操られてた僕達をタクマと女の子が助けてくれて、っていう…うーん、すごく夢っぽい。
ただ、世界の終わりになまえが一緒に居てくれるならそれでいいやと思ってたことははっきり覚えてる。
その後が、ありえない程 幸せな夢だったから
そんな考えもすぐ消えてしまったけど。
僕とタクマは待ち合わせをするくらい仲が良くて
僕となまえは優しく微笑み合うような恋人同士で
そんな二人が両隣にいる、っていうのは間違いなく夢なんだよね。悲しいけど。
僕となまえはプロになってから、向かい合うことはあっても こうして隣に座ることすらないような関係だし
なまえがそれを望んでいるから。
でも、
少しだけ、と起こさないようになまえの手をとって握る。
あんなに幸福な夢を見た後で
隣にいるのに 触れられないのは
あまりにも 寂しすぎるから
夢の中では手をとると穏やかに微笑んでくれたけど、現実だと叱られるよね。
『どうしてあなたってそうなの』って、いつもみたいに。
僕が触れたかったからってそう言えば、怒りはするだろうけど、振り払ったりはしないんだろうなぁ…
それが現実のなまえだから。
どうしてって言葉に返す理由がどんなに僕のわがままでも
君が受け入れてくれるから
ついつい甘えてしまう
優しく優しく甘やかしてあげたいと思うのに
気づけば、甘えているのはいつだって僕の方で
「………」
やっぱり…こうして触れていると 先を、望んでしまう。
僕が“そうなりたいから”と望めば
君は受け入れてくれるんじゃないかと 夢を見てしまう。
だから この手を離したら
僕から触れるのはおしまいにしよう。
「…ね、なまえ」
君が僕のものになる
いつか訪れるかもしれない、そんな日が来るまでは。