青島カズヤ連載
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「若干懐かしいな、トキオシアデパート」
「……、」
「?!何……、」
ディテクター事件の あの日以来か。なんて笑いながら入ろうとしたら手を握られて
慌てて振り向くと、今にも泣きそうななまえの顔が目に入って
動悸が一瞬で重苦しいものに変わる。
俺 何かしたか…?!と考えてる間にみるみると下がってく頭のせいで 表情が見えなくなると余計に焦っちまって。
後ろから人も来るし、握られた手を引いて とりあえず入口から離れたけど
それでもなまえは 何を言うでもなく手を握るだけで
その冷たい指先に、照れてる場合じゃねーことだけは分かるけど…それ以外、俺に分かるはずもなく
できるだけ優しく聞こえるようにと声をかける。
「…どうした?何かあったか?」
「……カズヤくん、またどこか行っちゃうかも、って…思って…」
「…?? 」
なまえがためらいがちに出したその言葉の意味が
俺にはやっぱり分かんなくて首をかしげる。
「デパートの中でどこに行くってんだよ」
「……また、操られたりするかもって…」
「はは。いや、さすがにそれは…」
ねーだろ。って 返事をしかけて、自分が既に2回やられてる事に気付いて頭を抱えた。
そういうことか…!これ否定して説得力あるか?
つーか変なトラウマになってんじゃねーか?!どうすんだこれ!
「………ごめん、なんだか…変なこと 言ってる、よね」
俺が答えあぐねてる間になまえの方が落ち着いてきたのか、手を離して「行こっか」と続けて
そのぎこちない表情に俺の方が罪悪感で潰れそうになる。
握り返す手がなくなってから手に力を込めたって、遅い。
全然成長しねーな 俺。ホント、いい加減にしねーと
俺より、コイツの方がどっか行っちまう。
そう思ったら、自然と手がのびた。
「!」
「…別に、どこも いかねーけど、」
「…うん」
ホッとした顔と、緩く握り返される手に
俺の方が安心したとか情けねーけど。
これでなまえが少しでも安心するなら、
これで どこにも行かねぇで
そばにいてくれるなら
一生、放したくなくねーな。なんて思った。
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