青島カズヤ連載
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「前のままの方が よかったよな」
「、」
「守ってやれたらいいと思ったけど、逆にビビらせてたんじゃ…意味、ねーし」
考えたところでいい方法が浮かぶでもなく、通路で顔を合わせちまって
逃げはしなくても、俯いて黙ってしまったなまえを見て、出てきた言葉がこれだった。
前のまま、とか今更どうしようもねぇのに
泣き言みてーなこと言って
ただでさえ困らせてるのは俺で
そんなこと言われてもなまえが何も言えるわけないって分かってんのに
顔を上げないなまえに マジで泣きたくなった。
でもそれでよかった。
多分今、すげー情けない顔してるだろうから。
見られる前に離れようと背を向けて、もと来た通路を引き返す。
5歩、6歩と進んで
後ろから駆けるような足音がするのは、アスカ辺りだろうと気にもとめずに居たら
ぐっ、と服を引かれて足が止まる。
それが他の誰でもないなまえだって、振り向く前から分かるのは 俺がその動作を 好きだったから。
なまえが俺の服を引っぱるのは、決まって助けて欲しい時。
目が合ったら、なまえが『カズヤくん』って俺を呼んで
それに『どうした?』って答えてやれば、
全部、どうにかなってきたのに。
「っ…、」
目があって、何か言おうとして
名前の代わりにぼろぼろとこぼれたのは涙だった。
その拍子に服を掴んでいた手は離れて
ぐしゃぐしゃと目を擦るなまえに
手を伸ばしかけて、掴めなくて。
「…なまえ、」
「っ!」
「待っ…!?」
泣き止ませたくて呼んだ名前も
なまえが逃げ出すきっかけにしかならなくて
走り去っていく後ろ姿に
さっき伸ばした手で捕まえときゃ良かったと後悔してももう遅い。
ズキズキと、心臓が痛いばっかで役に立たねぇ。
「……何やってんだ俺は、」
俺がどうすりゃいいか分かんねーんだから
なまえだってどうすりゃいいか分かんねーに決まってる。
見栄張ってる場合でも、格好なんか気にしてる場合でもねぇよ。
なんとかしねえとマジでこのまま、
「カズ?」
「通路の真ん中でしゃがみこんで何してるんだ?」
「…バン、アミ…」
「何かあったのか?」
「その落ち込みよう…なまえと何か話したの?」
「…話すどころか、泣かれた……」
「どうせカズが余計なことでも言ったんでしょ」
「う…」
図星で何も言えねぇ…と自分を恨んだところで時間が戻るわけでもねーし、
なまえは、多分 今も泣いてて。
それが一番嫌だった。
「…アミ、なまえのこと頼んでいいか?」
「それはいいけど…」
「?」
「…カズ、諦めてないわよね?」
「!諦めてねーよ!!」
「ならいいわ」
さっきまでの覇気のなさはどこにいったのか、
自分でも少し驚くくらいのでけー声に、アミは笑ってなまえの元へ向かった。
確かに普段の俺なら無理だとか、仕方ないとかすぐ言うし
特に自分のことに関してはそのまま投げ出すことも多いからアミがそう言うのも分かる。
でもなまえのことは、再会してから今まで一瞬だって『諦める』なんて言葉、浮かんですらこなかった。
まあ、かといってまだ何もできてねぇけど…
「はあ〜、なんで俺っていつもこうなんだか…」
「そんなに状況が悪くなってるとは思わなかったよ」
「俺だってそのうちどうにかなると思ってたぜ?」
「俺にもできることがあればいいんだけど…なまえ、俺には相変わらずだし…」
「あの様子じゃ 次会った時、俺の話だってまともに聞くかどうか…」
「う〜ん……あ、だったらCCMのメッセージは?」
「それだ!!…つっても何て送るか…あいつとは元からあんまりメッセージのやり取りなんかしてなかったし…」
「いつも一緒にいたもんね」
「そ、そんなことねーだろ…」
「そうかなぁ」
「…とにかく!やれることからやってくしかねーよな!」
「だね。頑張れよ、カズ」
「おう!サンキュー、バン!」
バンのおかげでなんとか気持ちを持ち直して気合いを入れる。
直接話すのにこだわりすぎてたのはあるな。
そりゃ普通に話せるに越したことねーけど…何も伝わらないよりはいいし。このまま諦めるとか、絶対無理だし。
こっからまた時間がかかったとしても
前みたいに
少しでも、戻れるなら、