フューチャーホープ号奪還、大統領と長官救出
挙げ句の果てに宇宙にまで行くことになるなんて
さすがにそこまで想定してなくて

こんなこと言ってる場合じゃないってのは分かってんだけど、




「…なぁ、俺 避けられてるよな？」

「そうね」

「目すら合わせてくれねぇんだけど…」

「でも男としては意識されてるわよ？」

「それはそうかもしんねぇけど…ここまでは望んでねーよ、」



再会した日は まぁ、確かにショックだったけど
何日か経てば慣れるだろ…とか軽く考えてたんだ！
それがいつまで経ってもこの状態じゃ、さすがにヘコむ。



「カズだってことは分かってるんだし、ゆっくり慣れるのを待つしかないわよ」

「それはそうなんだろうけど…、」

「待てないなら、もっと話しかけて多少強引にでも慣れさせるしかないんじゃない？」

「……」



そりゃあ俺だって何度か話しかけたけど…
ビビるわ、目を逸らすわ、まともに会話になんねーわで
一挙一動にダメージくらうし、罪悪感すげーし、どうすりゃ元の状態になんのか見当もつかねーし…

なまえが慣れるより先に、俺の心の方が折れそうだった。



「あれでも、部屋ではカズと話せないこと気にしてるのよ？」

「……」



その情報だけで多少は救われるけど
どうしても前と比べちまうんだからしょーがねぇだろ…。

うなだれるだけで何も言わない俺に、アミは呆れた様子でため息をつく。



「そんな調子じゃ誰かに取られるんじゃないの？」

「それは…」



今までなら『それはねーだろ』って言い切れてた。
自分が一番近くにいられたってのもあるし、
なまえも誰かに好かれたところで怖がるだけだったから。

でも 今の状態だと…



「学校でもカズが居ないからか、よく男子に話しかけられてたわよ？」

「はぁ！？誰だよソイツ！」

「それが一人じゃないのよね〜」

「っ～～…！今その情報いらねーよ。…ただでさえどうすりゃいいか分かんねぇってのに。余計に考えることが増えるだけじゃねーか…」



まぁ、考えたところで どうしようもねぇんだけど

もし、この状態がずっと続いたとしたら…
俺はそういうのを黙って見てるしかないのか、とか

つい嫌な方向にばっか考えがいくし。



「変わったと思ったけど、やっぱりカズはカズね」

「どうせヘタレだって言うんだろ…」

「なまえもそれに気づけば、前みたいに話しかけてくれるんじゃない？」

「そんな情けないとこ見せられるかよ…」

「今さら格好つける意味ある？」

「うるせ」



拗ねたみてーに、そんなことを口にする俺は
どこからどう見たって情けない奴だと 自分でも思う。



「この騒動が落ち着く頃には なんかいい感じに戻ってねーかなぁ…」

「そんな適当なこと言って…」



実際の俺はこんなで
アミには呆れられっぱなしだし
お世辞にも頼りがいがあるとは言えねぇけど




格好なんか、つけたいに決まってる。













せめて




なまえの前でくらいは見栄を張りたいって そう思うくらい、いいだろ。