青島カズヤ連載
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幼少期、好きなやつをからかっちまうヤツってのは何割かいて
なぜかそういうタイプに好かれやすいなまえは、気がつけば男が苦手になってた。
つっても、学校の先生やキタジマの店長みたいに年上とか
自分より年下になると平気みたいで
苦手な『同年代の男』に
俺だけが含まれないでいる。
その事実は 正直嬉しい。
俺だってなまえが好きだから。
じゃなきゃ、不良じみた格好までして守ったりしねぇし
幼なじみだからって中学になってまでつるんだりしない。
そんな俺をなまえがどう思ってるかといえば
『カズヤくんがいてくれたら大丈夫』とか言うけど
それが好きなのかどうかは…比較する相手もいねーからよく分かんねぇし
もしかしたら男としては見られてねぇのかも、って気持ちが ずっとどこかであって
ほんのちょっとでいいから意識してくれりゃいいかな…ってのと
ディテクター事件で 見た目だけ強く見せても、肝心な時に守れないんじゃ意味がないことに気づいたから
ここまで鍛えたってのに
「久しぶり、ってほどでもねーか?」
「!」
「アミと一緒だとしても、よく来る決心したよな」
「っ…」
そう声をかけながら近づくと、なまえが一歩後退ってアミの服を掴んだ。
その動きには覚えがあって
でもそれは 俺が掴まれる側で。
嫌な、予感がした。
いや、さすがにそれは…そう思いつつも足を止めて
もう一度 声をかけ直す。
「…なまえ?」
「、」
「どうしたのなまえ、カズよ?ずっと心配してたじゃない」
「う…うん、」
「………」
逸らされた視線が、たどたどしい返事が、強張った表情が
今まで隣で見てきた『苦手な同年代』に対する態度そのものであ然とする。
嘘だろ?そりゃしばらく会ってなかったけど
不良じみた格好してた時だって別に怖がったことなかったろ!?
なんで、と言いそうになるのを慌てて抑えて視線を反らす。
頭の中でごちゃごちゃと、信じたくない自分が色んな理由を並べるばっかで どうすりゃいいのか分かんねぇ。
「体調でも悪いの?」
「……分からない…」
「待機がどれくらいあるかも分からないんだし、無理せず先に休んだら?もう話はいつでもできるんだし、ね?カズ」
「お、おう…!」
混乱する俺とは違い アミは冷静で、こういうとき助かる。
小さく頷いて 逃げるように部屋から出ていくなまえを見送って
それから、アミにさっきの反応がどう見えたか確かめる。
「…なぁ、あれって…」
「仕方ないんじゃない?私だって一瞬誰か分からなかったくらいだし」
「マジかよ!?そんな変わったか!?」
「かなりね。ま、なまえ本人も『分からない』って言ってたし…混乱してるのよ、きっと。少し様子を見ましょ」
「そう…だな。それしかねーか…」
「それより今はバンの方が心配だわ」
「だな。様子見に行くか」
口ではそう言っても、視線が辿るのはなまえが出ていった方で。
久しぶりに会えたら
いつもみたいに隣に並んで、俺を『カズヤくん』って
そう 呼ぶもんだと、当たり前みたいに思い込んでて
考えもしなかった。
それが、
当たり前じゃない
こんな日が来るなんて。
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