TALES OF series
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「どうかしたんですか」
少し距離を取って二人を眺めている幼馴染であった彼女に声をかける。
「いやー、ふと我にかえってさ?2人の邪魔しちゃ悪いなって」
視線の先には、兄さんとシェリア。
そういえば、なまえはシェリアと同じく小さい頃から兄さんのことが好きで
今と変わらず1歩引いて、兄さんを見ていたことを思い出す。
「貴女だって、昔から兄さんが好きだったじゃありませんか」
そんな彼女を好きだった僕は、
人の事を言えた義理ではないけれど。
意地悪くそういえば、彼女は僕の方を見てすごく微妙な顔をした。
「…ヒューくん…そのネタはちょっと…」
「本当のことでしょう」
「…いつからそんな性格に…。ヒューくん、昔はもっと可愛かったのに」
「可愛くなくて結構です。だいたいその呼び方、やめていただけますか」
「じゃぁヒューくんはその敬語、やめていただけますか」
「…。僕の真似をするのはやめて下さい」
「ふーんだ」
「……」
そっぽを向いたかと思えば、小さく笑って。
俯いた拍子に、昔とは違う長くなった髪が揺れた。
何年も離れて、変わったところといえばそれくらいしかないだろうと思っていたのに
「今は、アスベルじゃない」
「…、」
「好きな人、アスベルじゃないよ」
いっそ兄さんだったら…そうすれば、諦めもつくというのに。
ふと、頭の隅でそんなことが浮かんで、考えを振り払う。
そんなことをして出てくる言葉はまた皮肉ばかり。
「…貴女のことですから、今もウジウジと悩んでその気持ちを伝えられずに居るんでしょうね」
それを聞いて、苦笑しながら「当たり」と彼女は呟いた。
そんな顔を、見たくはないのに。
「どうしてかな。その人のために…剣も、銃も、魔法だって勉強した。強くなるために。
そんなことならいくらでもできるのに、」
その言葉の続きなんて、容易だった。
「たった一言は、言えないんだよね」
「……」
話しかけなければよかった、と思えるほど
僕はまだ彼女が好きだったんだと思い知らされる。
この気持ちは忘れたものだと、思っていたのに。
隣から視線を感じて、いつの間にか俯いていた顔をあげると彼女が困ったように呟く。
「…私も相変わらずだけど、ヒューくんも相変わらずだよね」
「何がですか」
「んーん。…うーん、少しくらい頑張ってみようかなぁ」
「それは…、健闘を祈ります」
話の流れからして、気持ちを伝える気があるということ。
そんな言葉を聞いてまた無意識に項垂れた僕に
今度はもっと小さな呟きが耳に入る。
「…ストラタに行って連絡1つも寄越さなかった誰かさんのことなんだけど、」
「……は、」
聞こえるか、聞こえないか、
そんな微かな音でも隣に居たのだから聞こえないはずもなく、しっかりと僕の耳へ届いた。
彼女の周りの人間で、ストラタへ行くような人間が
僕の他に、居るのだろうか。
「あ、シェリアが呼んでる。出発かな?行こ。ヒューくん」
「ちょ、ちょっと待って下さい!今のはどういう…!」
先に皆の元へ向かって歩き出すなまえを引き留めるように声を掛けても彼女の足は止まる気配はなく、
ヒューくんは鈍感だなぁ、なんて聞こえれば、次の言葉はもう出てこなかった。
気付かないはずがない
いくら僕が鈍感だったとしても、
その意味が分からないほど もう子供ではないんですよ。
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