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この手を掴むのを、オレは恐れていた。
出会った頃は自分でも気付いてなかった。
月日が経つにつれて
歳を重ねるにつれて
オレがこの手をとってしまったら、
また
失ってしまうような気がして。
心に蓋をして
言い訳をして
作り笑いを張り付けて
必死に誤魔化していたのは
「なまえ、」
「何?」
もしかしたら、無駄だったのかもしれない。
あの時、まごつくオレにかけられた彼女の言葉は
全てを分かっていたみたいだったから。
『…大丈夫だよ、想ってくれなくても』
『、』
『私が、ずっと想っているから』
そう言われて初めて、俺は彼女の手をとった。
その言葉は、
ずっとオレを想っていてくれるというより
彼女が大切だと認めることを恐れていた俺に
そのままでもいいのだと
そのままでも、変わらず同じように傍に居られるのだからと
そう言っているように聞こえて
「オレね、どうも六代目火影になっちゃいそうなんだけど」
「…それはなんていうか…あんまり想像がつかないね」
「そーねぇ」
「でも、皆居るんだし、なんとでもなるよ」
「…まぁね」
「疲れたら、七代目を任命してゆっくりすればいいんだし。ほら、ナルトくんとか喜んでやってくれるよ、きっと」
「でしょーね」
頑張れとか
期待してるだとか
オレならそれくらいできるだろうなんて言葉を浴びて戻ったオレには
あの時の言葉と同じ。
すっと何かが消えていく、感覚。
「ま、それまでは頑張んなきゃなんないみたいだからさ、」
「うん」
「ちょっと支えてちょーだいな」
微かに強くなる鼓動に合わせて、座っている彼女に手を差し出す。
ここまで辿り着くのに、時間をかけすぎてしまったけど
なまえなら、
『今までの時間だって、無駄なんかじゃないよ』
なんて、きっと
言ってくれるだろう。
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