ワールドトリガー
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コンコン、と扉を叩けば
中から聞こえてきた「はいはーい」なんて間延びした返事に一瞬不安を覚えるけど
とりあえず、出てきた人に一言告げた。
「ただいま」
「おかえりー」
ちょい休ませてーって、本部にあるその人の部屋に転がり込んで部屋にあるソファに倒れ込む。
別にたいして疲れてねーけど、そういう体だ。
「どうだった?遠征」
「んー、別に。新しいトリガーは4つ手に入ったけど…そんくらいかな」
「へ~それは鬼怒田さんが喜ぶだろうね」
「…何してんの?」
「何か飲むかと思って」
「…飲むけど先こっちきて」
おれの要求に「んー?」とまた間延びした返事をして
のんびりと近寄ってくるのに耐えきれず 手を伸ばして腕の中に引っ張り込む。
「なーに、寂しかった?」
「別にそういうんじゃねーけど…」
「そう?」
寂しかった、なんて素直に言うわけねーの
絶対分かってて聞いてくるのが いつものことながら悔しくて
いいから、ってそのままソファーになだれ込むのもその通りですって言ってるみたいで嫌になる。
いや、いつも結局その流れなんだけど。
「…そっちこそ 遠征の間会えなくて寂しかった、とかねーの?」
「私、そんなタイプに見える?」
「…そんなだったらソッコー浮気されてそうだけど」
「そうでしょ?」
「でも可愛くない」
「残念ね。でも選んだのは公平だよ?」
「そーだけど」
普通なら、付き合ってるやつに『可愛くない』なんて言われりゃ怒るだろうに
それを笑顔でかわすのは、大人の余裕ってやつか。
そんな歳かわんないけど。
おれだって別に寂しがられないからって
おれだけが好きみたいだ、なんて女々しい事も思わねーし
おれなしじゃ生きられない、とか言われたいわけでもない。重いし。そんなこと言うのなまえじゃねーし。
けど、おれが居なくても生きていけるのは
なんか
くやしいと思う。
微妙なニュアンスの違いだけど。と
そんな矛盾めいた事を考えながら、少し腕を緩めると
目元にふっとキスされて
反射的に閉じた瞼が、突然重くなる。
「…眠い?」
「いや…なんか急に…」
「ベッド、使ったら?」
「…そーするかな」
目を擦って、あくびをひとつ。
頭を撫でられたら子供扱いみたいで嫌なはずなのに心地がよくて
そのまま落ちてしまいたい気持ちを押さえてベッドに向かう。
きっとおれだって
なまえがいなきゃいないで生きてけるだろーけど
振り向いて、
「一緒に寝てくんねーの?」
「…いいよ、少しだけね」
どうせそこに誰かがいるなら
なまえがいい。そんな考えを含ませたキスを贈って、太刀川さんからの電話がくるまで少しだけふたりで眠った。
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