26歳
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「アイツらに言ってなかったんだな」
「は?何を…」
「みょうじのこと」
「いや、言わねえだろ…。ああなるのも目に見えてたしな…」
なんて、さっき体育館で騒ぎになったことを思い出して なんとも言えない気持ちになる。
大会も近いもんだからとにかく試合を組みたくて 町内会の奴ら集めて練習試合をやってたら…その終わりかけ『仕事早く終わったから、烏養くんのコーチ姿と教え子達を見に来てみたー』って暢気に顔を出したなまえに
やっぱりっつーかなんつーか、ちょっとした騒ぎになったわけだ。
付き合ってるって分かった途端のアイツらの盛り上がりようといったら…と思い返せば自然とため息が出る。
いや、別にだからなんだってわけでもねぇんだが…
「まぁ、高校生なんてあんなもんだろ」と向かいで笑う嶋田にまーなぁ、と気のない返事をすれば隣で品書きを眺めていたなまえが俺の服を引っ張る。
「ねえねえ、烏養くん」
「あ?」
「これ!これ頼んで!」
「自分で頼め」
「いいから頼んでよー!」
「あー分かった分かった…」
もう尻に敷かれてんのかー?なんて茶化してくる滝ノ上は無視して注文を通した後、煙草に火を点けて欠伸をひとつ。
早朝から起きてっから酒入れると眠くて仕方ねえ。と思ってはいてもやめられないビールのグラスを 手に持った煙草と入れ替えて仰げば
「…繋心、」
まどろみかけの意識に柔らかく入ってきたその声に何も考えず隣を見て、固まる。
「ん~、別に違和感とかはないけどー…」
「……」
「どっちがいー?」
「……は?何の話して…」
「名前。繋心と、烏養くんと」
「いや…、」
だから、何で急にそんな話になってんだ、と思ってんのに
あまりにも自然に入ってきた俺を呼ぶ声にただただ驚いて、まともに返せずにいる自分に戸惑う。
歯切れの悪い俺を見て首を傾げるなまえに あー…?と更に唸ったようなような声を出せばなまえは笑う。
「烏養くん今 寝てたでしょー。ビール飲みながら!溺れるんだー」
「…そりゃ幸せだな」
「アル中だー。そんなに強くないくせに」
「うるせぇ」
「で?どっちがいー?」
「だから、なんだ突然」
「嶋田くんが」
と、向かいを指さして「付き合ったのに呼び方昔と変わってないなって」となまえが言葉を続ければ
嶋田が「どっちも烏養になるかもしれないだろ~?ここまま結婚するかもしれないしな?」なんてニヤけた面して言ってくるから
高校生にあてられてんじゃねぇよ……と呆れた声で返す。
「んなもん今更どっちでもいいんだよ。たいして変わんねーだろ」
「じゃー、烏養くん」
「…おう」
俺の言葉に即 返ってきた いつものその呼び方に
落ち着いたような、
何か違うような、
ほんの少し
物足りないような、
気がしたなんてのは
「気のせいだ、気のせい」
そんな呟きは、幸い さっき注文した料理が運ばれて来たことによって上手いことかき消された。