26歳
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「よぉ、」
「あれ、烏養くんだ。どしたのー?」
「土産、持ってきた」
「わー、ありがとー!あっ!この前写真送ったのも入ってる~~!」
合宿帰り、なまえの家を訪ねて土産を渡せば 上機嫌に受け取ったからほっと息をつく。
前と同じだーとか文句でも言われるかと思ったが…本当に何でもいいんだな…。とある意味感心していれば、玄関に置かれた鞄を見て思わず声をかける。
「…どっか出んのか?」
「うん、コンビニにごはんでも買いに行こっかなーって思ってたとこ」
「はぁ?お前料理できんだろ」
「一人分作るのめんどいもん。余るし」
デザートは買わなくて良くなった~!なんて冷蔵庫に向かう後ろ姿を見ながらため息を吐く。
そりゃ実家で楽してる俺が偉そうに 飯ぐらい作れよ、とは言えねぇけど…、
「…なら、飯でも食いに行くか」
「え?連れてってくれんの?」
「そう言ってんだろーが。いい歳してコンビニ飯ばっか食ってんじゃねーぞ」
「わーい!やっさしー!でも烏養くん!私、見た目なら今でも大学生で通るんだよ!!」
「そーかよ」
んで、何食うんだ。なんて適当に流しながら、どこか複雑な気持ちになる。
別に 何がどうってわけでもねぇけど…
何とも思ってなさすぎじゃねぇ…?とか、
つい考えちまうのは、やっぱ少なからず気になってっからで
警戒されたいわけじゃねぇけど、そうほいほい着いてこられんのもなぁ……コイツ誰にでもこうなのか…?と変な不安を抱えながら近場の店の暖簾をくぐった。
「そいえば烏養くんが合宿で居ない時に、おばさんと一緒に晩ご飯食べたんだけどさ」
「は?」
「ん?」
「なんでお前がうちのかあちゃんと飯食ってんだ?」
「おばさんがご飯食べていきなさいよーって言ってくれたからお言葉に甘えてみた」
「…」
「おばさん、早く烏養くんに結婚して欲しいって言ってたよー」
「……」
「あっはは、変な顔してる」
やっぱお前は誰にでもそうなんだなって呆れと
まだ30にもなってねぇのに結婚結婚って親にうるさく言われるのが嫌なのと
今まさにちょっと気になってる奴にそんな話される複雑さが相まって
そりゃ変な顔にもなるっつーの!!と心の中でツッコミを入れてからため息を吐く。
「はー…こっちはまだ26だってのに、気が早ぇんだよまったく…」
「分かる!私もたまに顔合わせたら『26にもなるのにいい人くらい居ないの、アンタは』とか言われるもん。居たら紹介してるんですけどって話!」
「そりゃそうだな」
「田舎の嫌なところだよね」
「だなー」
確かに最近、結婚するだの子供が産まれただのって話はよく聞くようになった。
それでも自分には遠い話だと思ってんのはどうやら当人だけで、どこの家庭でもこの歳になれば言われることは同じなんだな…とグラスに手をかける。
「まー、この話には続きがあってー」
「?」
「おばさんが、私ならいつでもお嫁に来てくれていいんだよ!って言うから」
「ングッ!!ゲホッゲホッ」
「…変な音したけど大丈夫」
「な、に言ってんだ…あんのくそ…!!」
「28になっても彼氏居なかったら真剣に考えますねーって流しといたんだけど」
「!?お前も何言ってんだ…!?」
「えー?さすがの私だってなんとなく30までには結婚しときたいかな~くらいのことは思ってんだよ?」
「そこじゃねーよ!!」
「でもさすがにちょっと危機感は感じてるんだよね。高校の頃とかどうやって彼氏作ってたっけ…」
「……」
人の話聞く気ねぇなコイツ…!つーか爆弾発言にも程があんだろ!!
こっちの都合はまるで無視しといて結婚考えるってどういうアレだ!いや、男は作る気なんだろうし気にするだけ無駄ってことか!?いや、でももしできなかったら……
待て待て、とりあえず落ち着け、と煙草に火をつけて少し濃いめの煙を吐く。
そんな俺の動揺を気にもとめず、告白されたんだったわーとか呑気なこと言ってるなまえを横目で見て
まぁ…本気で言ってんのかも定かじゃねーよな、と少し冷静になる。
「別に理想のタイプとかないんだけどなー。あれ…?もしかしてそれが逆にダメ…?」
「…まぁ30なっても一人ならウチくりゃいいんじゃねぇの」
「それはー、その時考えるんだって」
「……」
あーでもないこーでもないと一人で喋ってる間に探りを入れてみても結局何も分かんねぇまま
すげぇさらっと流されて どうでも良くなってきた俺は
「…好きにしろ」
と、薄い煙草の煙と一緒に 天井に向かって吐きだした。