26歳
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「あは、あははっ!ウソでしょ…あはは!」
「……」
今、目の前で腹抱えて笑うなまえとは
高校でバレー部の時からこんな感じだったから、笑われるくらいなんてこたねぇが
「烏養くんが…コーチ…!コーチやってるなんてっ!子供に教えてるなんてっっ!!」
「……」
「ほとんどベンチだった烏養くんが…!ヤンキーみたいな格好してる烏養くんが…っ!」
「笑いすぎだ!」
「いたーい!女の子叩くなんて烏養くんサイテー」
手加減ならしたっつーの。
ま、笑いながら言ってんだから言う必要もねーんだろうけど…だいたい女の子って歳でもねーだろ。同い年だってのに、とため息をつく。
「…いい歳して何言ってんだ」
「えー。じゃあ女性を叩くなんてもっとサイテー」
「うるせぇな。彼氏も居ねぇくせに女性もくそもあるか」
「酷い酷ーい!烏養くん昔からデリカシーない!いい歳になってもデリカシーない!」
「あーあーなんでもいいけどよ、お前話聞いてたのか?」
「土日のお店番手伝ってって話でしょ、ちゃんと聞いてるよー。一日中練習見てあげたいなんて烏養くんまだまだ若いなぁ…うらやましー」
そんなことを言いながら、残り少ないグラスの中身を仰ぐなまえを見て
バレーボールばっか追いかけてた俺らもホントいい歳になったんだよなぁ…と思う。
卒業して、成人して、働いて、酒の飲み方を覚えて…、
町内会チームでバレーは続けてても、まさか自分がじいさんみたいに子供にバレー教えるなんて思ってもみなかったし
始める時は音駒との試合だけだって思ってたのが
いつの間にか俺も本気になってた。
「おじさーん、これもう1杯ちょーだい!次はロックでー!」
「で、どうだ!?他の連中は土日関係なく自分の仕事あるからよ、お前カレンダー通り休みだって言ってたろ?」
「そうだけど~、それ私休みないじゃん…いくら休日はそんな忙しくないからって…」
「客居ない間は適当に好きにしてくれて構わねえ!ノートパソコン持ち込んだっていい!…できる範囲で礼もする!無理言ってんのは分かってんだけどよ、ちょっと頼まれてくんねぇか」
平日は、アイツらも授業がある。それは、それだけ練習時間も限られてるってことで
最近は早朝の畑やってる分、店番は夕方までで良いって言ってくれてるから平日はそれでなんとかなるとしても…
うちはレギュラーに1年も多いから、休みは朝から晩までやったって足りやしねぇ。
たまにならかあちゃんにも頼めるけど、これからの土日はほとんど店出れねーって…それは実家だからって我儘すぎるよなぁ…
と思って、気まぐれに町内チームの様子見に体育館へ現れるコイツを捕まえて こういうことになったわけだ。
「んー…お礼って何してくれるの?」
「……飲みに連れてく」
「……」
特に何も考えてなかった俺の絞り出した言葉に、それだけ?と言いたげな目で返されると正直困る。
自分に都合のいいこと言ってんのは分かってんだ。
無理なら無理で仕方ねぇと思うし、話持ちかけたのもダメもとだ。
それでも、一応出来ることはやっとかねぇと。
「…さ、酒ならいくらでも付き合う!愚痴だっていくらでも聞いてやるから!な!?」
「…本当に?」
「お、おう…。もうすぐIH県予選始まんだよ、頼む!」
「……んー…仕方ないなぁ…。おばさんに無理させるわけにもいかないもんねー。私も学生のときはお世話になったし…」
「サンキュー!!助かる!!」
「…しゃーなし、ってやつだからね!」
なんて言って笑うなまえに
町内チームで、何度も顔合わせてんのに
なんでか今更になって
「…頼むわ」
少し 、高校時代を懐かしく感じた。
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