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『一番高いトコでボールが手に当たって、ボールの重さがこう…こう 手にずしっとくるあの感じ、大好きです!』
1年のその言葉で
今日は久々に、バレーに触れた気がした。
「あれ、旭 待っててくれたの?」
「あ…うん」
部活に出なくなって たったひと月だけど、それまでがバレーばっかだったから
なまえと今みたいに毎日一緒に帰るのも、やっと日課のような気がしてきたくらい。
それくらい、本当にバレーばっかだった俺が
バレーを嫌いになんて、なれるわけないけど
俺はへなちょこだから、なかなか立ち上がれないでいる。
「はい」
そんな俺へ差し出された手に応えるように 俺は右手を出して
引っ張りあげてくれるなまえの手に甘える。
ホントは俺が支えなきゃいけないはずなんだけど、情けないなぁ…なんて思いながら制服についた草を払って
帰るか、と口にしようとしたら
何故か俺の手を広げて、掌をまじまじと眺めるなまえに俺は首を傾げた。
「どうした?」
「旭の手は相変わらずおっきいねぇ」
「え?まぁ、そうだな…?」
真意が分からず
支えられた自分の掌を眺めると
何故かまた、ボールの感触を思い出して
「……」
黙ってしまった俺の手を
今度はいつも通り繫いで 引っぱって歩き出すなまえに
引かれるまま、足を進める。
「こうして一緒に帰れるようになったの、嬉しい」
「…うん、俺も」
これは本心だ。
けど、それと同じくらい 罪悪感もあったりする。
俺はただ、バレーから逃げてここに居るから。
本当は責められるのが当然で、スガや一年が声かけてくれるのも申し訳なく思う。
そんな中でこうして
それでも良かったんだって風に言ってもらえることは
俺にとって唯一の救いであり
逃げ場だった。
「私はほんと、すごく嬉しいんだよ」
門を出る手前で足を止めて どうしてか、同じ言葉を繰り返すなまえに俺は首を傾げる。
そんな改まって、今日って何かの記念日とかだったっけ…?なんて、内心ちょっと焦るけど
そういうわけじゃないらしい。
「でもね、この大きな手は やっぱりバレーをやるべきなんだと思うな」
「、…聞いてたんだ」
「うん。彼女的にも、一年生に旭のかっこいいとこ見てもらいたいし!」
「いや、俺は…」
全然、かっこよくないし
「それに手が寂しがってる。私の手じゃ小さくて物足りないって」
「そんなこと…」
その小さな手に、いつも助けてもらってて
「旭はちゃんと気付いてるよ。だから迷ってる」
「…そう、なのかな」
やっぱり、とは続けなかったけど。
俺より俺のことが詳しいんじゃないかと思うなまえに支えられて
「そうだよ。だから甘えるのは今日でおしまい!」
「…」
「今の旭なら、きっともう 大丈夫だから」
「なまえ…」
「頑張れ、旭」
その言葉に 背中を押されて、そうして俺はやっと踏ん切りがつく。
「…そうだな、うん」
「なんなら体育館まで一緒に行くし!」
「…うん。でも それじゃあ俺、かっこわるすぎない…?」
「大丈夫、そんなところも好きだから」
「そ、そっか…ありがとな。…でも、一人で行くよ」
「今?」
「えっ今!?さすがにそれは、その、心の準備とか色々…」
「時間経つとまた行きづらくなっちゃうでしょ?」
「それはそうなんだけど…」
「じゃあ今ね、今日はここでバイバイ」
「う…!…はい、」
「よしよし、えらいね旭」
「…今、俺のこと小さい子だと思ってない?」
「やればできる子だと思ってるよ?」
「…がんばります」
門を出る手前で、繋いでいた手を放すと なまえはニッと笑った。
「また明日ね!」
「…ありがとな」
「…体育館入るまでここで見てるから、逃げられないように」
「逃げないけど…なんか突然スパルタじゃない…?」
これも愛です!
そう言って笑うなまえを、俺は一生大事にしようと思った。
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