ハイキュー!!
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「あっ!いたー!」
朝練の休憩中に外からそんな叫び声が聞こえてきて、皆が扉の方を見る中
ツッキーはすごく嫌そうな顔をした。
「けーい君!忘れ物だよーっ」
「けい…?誰だ?」
「月島のか、彼女!?」
「「何ぃ!?許さん!!」」
入り口でツッキーの忘れ物を掲げながら叫ぶなまえちゃんと、それを見て騒ぎ出す日向達を
扉に背を向けたツッキーは、全部無視してドリンクを飲んでる。
「…ツッキー、呼ん」
「うるさい山口」
「ご、ごめんツッキー…」
なまえちゃんはツッキーのお隣さんで、小学校も中学校も同じとこだったから 俺もよく知ってて
元気で明るいし、人懐っこいから誰とでも仲良くて…今のツッキーとは正反対というか、日向みたいな感じ。
奥に居るツッキーに「無視ー!?」と投げかけても無反応だったからか、
なまえちゃんは体育館の中を見回して3年っていうか多分東峰さんに頭を下げた。
「お疲れさまです!今休憩中ですか!?入らせてもらってもいいですか!?すぐ終わるので!」
「え!?あ、ハイ。どうぞ…」
「失礼しまーす!」
「うわ…何入ってきてんの」
「忠君おっはよー!」
「あ、うん。おはよう」
「人の話聞きなよ」
「はい蛍君、これ!おばさんに頼まれたんだ~」
「…教室でいいデショこんなの。わざわざ朝から体育館まで来て暇人なの?」
「うん、暇人暇人~~!」
「……」
思いきり眉間に皺を寄せて『うざい』って顔をするツッキーは、
学校じゃそんなに見れない。と俺は思ってる。
「はい、ありがとうは?」
「はぁ?」
「ありがとうは?」
「なんで僕が……」
「あ り が と う はー?」
「…あーハイハイ。アリガトウゴザイマス」
「よーしよしよし!」
「撫でるな」
なまえちゃんとツッキーじゃ身長差があるから、頭の横の方を撫でられて
その手を払うツッキーはなんだか威嚇する猫みたいだ。
なんてのは口が裂けても言えなけど、日向達はその様子を遠巻きに見てなんか盛り上がってる。
「つ、月島が女子と喋ってるううう」
「おい、見ろよ!よしよしされてんぞ!!」
「影山見たか?あんな感じでイヤミはさらっと流して、どんどん話しかけてったらいんだべ?」
「はぁ…?」
「用が済んだならさっさと出ていきなよ」
周りの声に一層眉をひそませたツッキーが冷たくそう言っても、なまえちゃんは逆にどんどん笑顔になる。
見慣れた光景だけど、ほんとに正反対だ。
「えー…暇人だからたまには蛍君がバレーしてるの見せてもらおうと思ったのに~」
「……」
「私何か手伝おっか!?バレーならできるよ!」
「いらない」
「うそうそ!怒らない怒らない!昔から絶対体育館来るなーって言ってたもんね」
「…今来てるけどね」
「不可抗力だよー!おばさんに頼まれてラッキー!なんてこれっぽっちも思ってないよ!」
「うざい」
「蛍君つめたーーい!」
「うるさい」
冷たくあしらわれるのにも慣れてるっていうか 全然気にしないなまえちゃんは、始終笑顔のまま
始終眉間に皺を寄せたツッキーに手を振った。
「じゃあまた後で!教室でね 蛍君、忠君も!ばいばーい!」
「……」
「あ、うん!」
「お邪魔しました!練習頑張って下さい!」
「ハイ、どうも」
そうして体育館の扉が閉まる音に
今日も元気だなぁ、なんて思う俺の横で ツッキーが深いため息をつけば
それを皮切りに口々に皆が話始める。
「イヤミは流して話しかける……イヤミは…」
「月島!の!彼女!?彼女なのか!?」
「だったら許さん!」
「元気な子だったなぁ…」
「月島はああいうタイプ弱いんじゃないか?」
「挨拶とかちゃんとできて、しっかりしてそうだしいいんじゃないか?」
「大地さんそれ何目線すか!父親みたいっすよ!」
反応は色々で、ツッキーの前に走り寄ってきて「彼女!?なぁ、今の子月島の彼女!?」ってぴょんぴょん跳ねてる日向を無視しながら
「最悪…」と呟いて疲弊してるツッキーの様子に、口元が緩みそうになるのを耐える。
「なぁなぁ!聞いてんのか月島!」
「うるさい」
ツッキーはいつも冷たくあしらってるけど、
彼女ってところを否定しようとしないのも
普段 飄々としてるツッキーがこうやって分かりやすく表情を表に出すのも、やっぱり相手がなまえちゃんだからじゃないかって俺はこっそり思ってる。
そんなこと言ったらうるさいって怒られるだろうから言わないけど…
とりあえず
今日は
1日中機嫌悪そうだな、ツッキー…なんて思いながら練習再開の号令に返事をした。
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