ハイキュー!!
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「…何やってんの」
「あ、蛍くん!!おはよ~」
「……」
時間を確認したスマホから視線をあげた先で、
男二人と談笑している(ように見える)彼女の後ろから 近づいて声をかければ
「今ね、道聞かれてたんだー」とかなんとか言いながらだらしなく笑うなまえにため息をついた。
バカじゃないの…。
どうせ道分かんないなんて口実デショ、とでも言いたげな目で男二人を見下せば、そそくさと逃げていくから
逃げるくらいなら最初から声なんかかけなきゃいいのに、頭悪いんじゃないの。なんて心の中で悪態をついた。
「蛍くん、どうして怒ってるの?」
そんな僕の下から呑気に問いかけてくる彼女へ
視線だけを投げれば、「あれ?私が悪い…?」と首を傾げるんだから本当に呆れる。
「……僕が来るの分かってて堂々とナンパされてるなんていい度胸してるよね」
「えぇ!?…あ!!私何もしてない!勝手に声かけてきたんだもん!私悪くないよね!?」
「見てくれが悪い」
「「……」」
「そんな酷いこと初めて言われたー!」
僕の言葉に一瞬間を置いて まただらしなく笑いながらそう返してくるなまえが理解できずに、僕は眉間に皺を寄せる。
…別に貶すつもりで言ったんじゃないけど、それにしてもおかしいでしょ、
「何でちょっと嬉しそうなの。マゾ…?」
「違うもーん!」
「あっそ」
「やきもち妬いてくれて嬉しかっただけだもーん」
「別に誰も焼いてないけど」
「あっそー?」
僕の言葉を繰り返して、下から見上げてくるのにイラっとして軽く頭を叩く。
「生意気」
「いたっ」
「マゾなら嬉しいデショ」
「違うってばー!蛍くんが…」
「それ以上その話するなら帰るけど」
「えーっ!?理不尽…」
「じゃあね」
「やだやだ!待って待って!もうしないから映画行こうよー!その後はケーキだよ!?ショートケーキ~!!」
駅ではなく映画館へ向けて足を進めた僕に気付かず
追いかけてくるなまえが大声を出すせいで、周りから視線を向けられる。
「うるさい。分かったからもう少し静かにしなよ」
「はーい」
「あともっと周り見たら。絶対バカだと思われてるから」
「ん~…私は蛍くんしか見えないんだなー」
「「……」」
「……バカじゃないの?」
「蛍くんバカです」
「…帰る」
「うわん!ごめんなさい!!帰らないで!!」
立ち止まっただけで腕にしがみついてくる彼女を
やっぱりバカだな…。と思いながら、そのまま また映画館へ向けて歩き出す。
「歩きづらいんだけど」
「だって蛍くんすぐ『帰る』って言うもん」
僕のことしか見えない、なんて言いながら
そんな嘘に気づけない理由が全く分からないけど
「自分のせいデショ」
「そんなことないよ…!」
気づいたらそれはそれで面倒くさそうだから、いいか、
気付かない方が
なんて思いながら、僕の腕を離そうとしない彼女に「そうだといいね」と呟いた。
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