26歳
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『おい、飲み過ぎじゃねぇのか今日』
そう言った俺に対して
『いーの、いーのー!』
『何がだよ』
『烏養くんが居るもーん』
『…へいへい』
俺が居るから、なんてこと言われて
コイツ相手じゃなけりゃ、面倒かけんな!とでも言ってやるとこだが
何も思わないわけもなく
小言ひとつ言わず適当に流した
その時の俺を恨んだ。
「烏養くんお水~~」
「あぁ?ったく、しょーがねえな…」
飲みの後、酔っぱらって上機嫌で帰るなまえを家まで送る。
たまにふらつくのをしっかり歩け、と背中叩きながら帰ってきた。
『酔ってるだろ!』と言えば『酔ってる!』とまともに返してくるだけまだマシだ。と、思いてえが
「バ、バカ野郎!何着替えてんだ!!」
「え~なに~寝るもん着替えるよー」
「バカ!こっち向くんじゃねえ!」
「え~~みずーー」
「さっさと着替えろ!!」
人に水持ってこさせといて戻ってきたらこれだ。
いつも飯行くだけで、んな雰囲気になることもねえし
俺も朝早えからさっさと帰るし
付き合うことになってから、そんなに経つわけでもねえから
って、何、
いい歳こいて動揺してんだこんなんで!
背中にかかる髪が
腕に通ったままの服が
振り返った瞬間の、目が
一瞬だ。背中越し。
別に何も見てねえ、ってのに、
グラスの水を飲み干して「水うま~」とか言ってる奴のどこに何を感じるってんだ、と平静を装って
何もなかったことにして
「じゃあ俺は帰」
「よし、ほら、寝よ」
「…あ?」
帰る、つもりだった。
「あ、そうだ。腕枕してよー」
「……」
何を言ってやがんだこの酔っぱらいは!!
「早くー!やってくんなきゃ来週からお店手伝ってあげないよー」
「…いや、狭いだろどう考えても。俺も帰って早く寝ねーと明日も早えーし、だな、」
「私が寝たら帰っていいよ」
「一人で寝…」
「はーやーくーー!!」
「……はー…」
言い出すと聞かねーから とか
酔っ払い相手に何言っても仕方ねーから とか
さっさと寝かせて帰る方が早いだろう とか
大きなため息をつきながら、言い訳じみたことを頭に並べて仕方なく腕を投げ出す。
「んー…ぬく…」
「……」
んなことを満足そうに呟いたかと思えば、10秒もたたずに寝息が聞こえてきて
また静かに 大きく、詰まっていた息を吐いた。
って、寝るの3秒かよ。俺要らねえだろ絶対…なんて心底呆れながら
帰ろうにも、身動きがとれないことに気付く。
腕枕どころか頭 肩に乗ってっし…。
どうすっかな…と、試しに少し腕を引いてみれば不満そうな唸り声をあげられて 早々に諦める。
腕を引いたせいで仰向けにもなれねえで
仕方なく抱き抱えるように回した腕が、自分で自分を動揺させてどうしようもねえ。
まさかこんなことになるとは、思ってなかった。
抱えた身体は思ったより小さい気がするし
酔ってるからか体温が高いのと自分が眠いのとが相まってじわじわと思考を奪われてく。
仕事と店とで疲れさせてんのかもしんねぇな、
名前呼ばれんの、悪くなかった、
今日は甘えられてんのか、
分かんねぇけど、
このまま、
もし、
「……ねー、おーい、はたけー…いいのー?」
「んあ…?」
「じかん、いいのー?」
「は!?うお、ヤベッ寝てた!何時だ!?帰んねーと!」
「んー…」
スマホを確認して慌てる俺をよそに
ふあぁあ、とデカいあくびをして布団に潜ろうとするなまえに
「おい!寝んな!」と声をかければだるそうな唸りだけ返される。
「鍵閉めろ!」
「ふあ~~…い」
「おい!絶対そのまま寝るだろ!」
「え~もー閉めてってよ~…カギ、入口にあるでしょー…」
「お前出るときどうすんだ!」
「も一本あるし…」
「あ~…分かった、じゃあ帰るからな!」
「んー」
仕方ねーな、と
可愛いげのあるキーホルダーがつけられた鍵で扉を閉めて家を出る。
何を思って言ったのか、分かんねえが
扉が閉まる直前にあくび混じりに聞こえた「いってらっしゃあーい」の間延びした声でへらりと口元が緩む。
「なにその気になってんだ、」
このまま、もし、結婚したら。なんて