Rainbow 9
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あの日、背後で彼女の気配がしなくなり、道を引き返せばどこにも姿が見当たらない。
女の足でそんなに遠くまで行ける筈は無いと、まさか事件にでも巻き込まれたのかと、辺りを入念に調べた。
そこで得られた情報は
“火拳のエースが連れ去った”
この二日間、探せる場所は隈なく探した。
だが火拳屋の形跡なぞ、埃程も見当たらねェ。
この内乱のさなか、女を連れて内陸に進むとは考え難い。恐らくもう島を出ている可能性の方が高い。
火拳屋の手配書を食い入るように見ていた名無しさんを思い出す。
…あの顔は、興味を持っていやがった。
嫌な予感が頭を過ぎる。
事実通り、本人の意向に添わずに連れ去られてくれたのなら、少しは安堵するが…。
握り締めた手を開き、ブレスレットを見ればちらりと顔を覗かせた二つのイニシャル。
そこに見え隠れする思惑に気付かぬ訳では無かった。
「…あの馬鹿は何の疑問も抱いて無かったがな…」
一人ごち、それを棚に押し込めようとした時、扉を叩く音と共にくぐもった声がする。
「船長、ペンギンです」
「どうした」
「…話があります。名無しさんの事で」
「………入れ」
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