Rainbow 8
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モノトーンのTシャツとクラッシュデニムを履いたエースは、どこからどう見てもカッコイイ。
…良かった、前の男が服を置いて行ってて。
トレードマークのテンガロンでさえも彼が被ればどんな服装にも溶けこんでしまう。
…まるで雑誌の中から出て来たみたい。
惚れ惚れと見とれているとパッと目が合い、慌てて目を逸らした。
「建物の中には入れないのか?」
『…ごめんね、それは無理なんだ』
校門の前、拗ねた様に口を尖らせる彼の手から鞄を受け取る。
『帰り迷わない?』
「一本道だし多分大丈夫だろ」
『鍵の開け方は分かるよね』
「さっき練習したじゃねーか」
『あんまり部屋から出たら…』
「あーもう分かったから心配すんな」
笑顔で私の顔を覗き込み、大きな手で頭をわしゃわしゃ撫でる。
その優しい仕草にジンと胸が熱くなった。
…最近こんな扱いを受けてなかったし…セットした髪が乱れるのなんて、全然気にしない、よ…。
「じゃあな、やる事ねーし終わる頃に迎えに来る」
迎えに来てくれる…
わざわざ迎えに…
口の締まりが悪くてよだれが垂れそうだ。
…エースってなんて優しいんだろう。
私は朝から容赦無く照り付ける太陽をものともせず、彼の背中が見えなくなるまで見送った。
これからは人の優しさに感謝して生きていこうと心に誓いながら。
本当に誰かさんに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。
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