Rainbow 7
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「……ハハッ」
背後から笑い声がする。
やっぱりこの声イラッとするな。
『…笑い事じゃないでしょ』
振り返らなくても分かる。そろそろコイツの出現の仕方にも慣れて来た。
「…もう名無しさんチャンに会うのはあれで最後だと思ってたよ」
ゆっくりとした足音が近づくと、私の隣に並んだ。
『私だってそう思ってたよ…』
「……フフッ…しょうがないな、エースの奴は」
顔を上げると、チラチラと歯を見せて笑う口元が見えた。この非人間的な男に僅かな情が見えるのは気のせいだろうか。
『…笑ってる場合?…どうすんの』
「うーん、名無しさんチャンの仕事が増えちゃったね」
『…………………まさか…』
嫌な予感しかしない。
理解力が無くても流れ的に勘づく。
私にやれと、連れ戻せと、まさかそう言いたいのか。
『……そろそろさ、アンタが働けば?』
「そうしたいけど、俺は……会えないから」
男はフッと真顔に戻り纏う空気を変えた。
薄気味悪さが還って来る。
彼は拳をゆっくり私に突き出した。
「2つある。君が帰る分とエースが戻る分。失くさないようにね」
言わずとも何が入ってるか分かる。
私は唯一の心残りに最後の抵抗を試みる。
『…せめてローにさよならしてから…』
「それはダメって言っただろ」
間発入れずにピシャリと断られる。
…あの時、人混みに紛れ見えなくなった後姿。
ローは、どんな顔をしていたのだろうか。
「早くしないとエースを見失うよ?」
私は渋々手を差し出した。
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