Rainbow 7
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『…ひ、ひけ…エース!』
「ん?俺の事知ってんのか?」
まさかまさかこんな所で会えるなんて…
そろそろ神様も私に運をくれる気になったんだね、有難う。
跪きながら手を合わせる。滅多に無い慈悲には感謝を表さねば。
「…どこか打ったのか?」
心配そうに近付いて来る漆黒の瞳。
濁りの無いそれに胸が高鳴る。
…鼻、高い…唇は薄いんだ…凄い整ってる…。
超、タイプなんですけど。
「…顔赤いぞ?やっぱり具合悪いのか?」
『いえ!もう治りましたエースさん!』
「ならいいけどよ。俺の名前何で…あぁ手配書か」
ウンウンと私は何度も頷く。うん手配書より実物の方が何倍も恰好良い。
「あー、それより巻き込んで悪かったな…その、食い逃げして追っかけられたんだ」
ほらよ、と言って手を差し出される。
なんて紳士なんだろう。
食い逃げ?
なんてワイルドなんだろう。
私はその手を恭しく取り立ち上がった。
「じゃあ、俺は行くから」
『…あの!』
歩き出そうとするエースの腕を咄嗟に掴んだ。
「……?…何だ?」
『えと…その…私名無しさんっていいます!』
「…そっか、名無しさんか。覚えとくよ」
エースは戸惑う様に首を傾ける。
あー、何言ってんだろ私…絶対変な人だと思われてるじゃん。
折角出会ったストライク。何か、もっとこう、引き止める術は無いものか。
「アイツどこ行きやがったー!」
「オイあっちの通り探してみようぜ!」
隣の通りから怒声が聞こえてくる。
「…やべ!早く逃げねぇと…!」
『待って!お金なら少し持ってる!』
大丈夫、ローのだから全然気にならない。
私はポケットをまさぐった。
出てきたのは白い錠剤。
『…あ、間違えた…』
「何だそれ、ラムネか?」
エースはひょいと薬を摘むと自分の口に放り込んだ。
『ア゛ァァァァーーーーーー!!』
ひゅうっと風が通り過ぎた。
そこには白い石造りの街並みがシンと佇んでいた。
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