Rainbow 7
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私は手の平に乗っている白い錠剤を見つめた。
…あの男はローに会うなと言ったけど、あんなに世話になっといて礼も言わずに帰るのは失礼なんじゃない?
やはり最後に挨拶ぐらいして戻るのが礼儀だと思い、薬をポケットにしまうと、ローの消えた方向に目を遣る。
私がいない事にはもう気付いているだろうか。
…追い掛けようか、いや気付いてるなら戻って来るんじゃないかな。
行くべきか留まるべきか躊躇していると、少しずつ前方がざわついてきた。
「食い逃げだー!!」
「誰か捕まえてくれー!」
人の波が一斉に左右に分かれる。
何かこういうの歴史の先生が話してた…海が割れるやつ。モーセのじゅかい?じっかい?あれ、何だっけ。私の記憶力って可哀相だな…。
「どけーー!!」
間近で聞こえた怒鳴り声にハッと意識を戻すと、ガシッと腰を掴まれる。
『…え?…え!?』
ぐるりと反転した自分の目に映るのは石畳。それと、駆ける足。
これは何のアトラクションだ!?
ぐわんぐわんと上下にバウンドする振動に吐き気を催す。
『……は、離して!!』
多分お腹に回っている感触は腕だろう。という事は、私は誰かに連れ去られているのか?
『…誰!何の真似?…てか吐く!』
昔遊園地のコーヒーカップをフザけて回したのを思い出す。あれよりも悲惨。
…ヤバイ…リミットまで秒読み段階…。
『……お願い降ろして!もうダメ!』
「……あれ!?」
急にアトラクションが止まり、回された腕の感触も無くなる。
私はそのまま地面に落下した。
…酷い、こないだから世の中の仕打ちが酷い。どれだけ傷物にしたら気が済むんだ?
「…お前、誰だ?」
頭上から聞こえた声に憤慨する。
『お前が誰だよ!』
砂が付いた頬を払う事も忘れ顔を上げた。
『………え?…うそ』
目に映るのはオレンジ色のテンガロンハット。
「…そういや、俺が連れて来たのか」
上半身裸の首元には数珠繋ぎの首飾り。
「わりぃ。目の前にいたから、つい」
日焼けしたそばかすだらけの顔が悪戯に笑った。
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