Rainbow 7
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「錨を降ろせー!」
「早くロープを持ってこい!」
甲板は着岸準備に右へ左へ大騒ぎだ。
私は近くに居た少年に声を掛けた。
『ねぇ、何か手伝う事ない?』
「あっ…いいっすよ!」
少年はにこやかに笑いながらロープを外す。
私は手持ち無沙汰になり、仕方なくローの側へ近付いた。
『…一緒に降りてもいいんだよね?』
「あァ、一人じゃなけりゃな」
…この変わり様。確実に船から出してくれないと思ってたのに、最近ローは自由をくれる。
『…どんな街なの?』
「賑やかだと聞いている。お前も買いたい物があるなら言え」
本当にどうしたんだろう。空恐ろしい。
革命的な心境の変化でもあったんだろうか。
『…もっとお洒落したい…』
自分の着ているロンTを引っ張りながら呟いた。
こんなの今まで家の中でしか着た事ない。
「…チッ…」
隣からびりびり黒いものが伝わってくる。顔を見たく無いから分からないけど、多分これは凄い勢いで睨んでる。ちょっとマジで肌に刺さって痛いんですけど…。
「お前にはそれで十分だ」
やっぱりね、そう来ると思ったけど心境の変化に賭けてみたんだよ。
どうせ貧弱な体に似合わないんでしょ。
…結局私は財力が無いんだし船長様に従うしかないんだけどさ。
『……ハァーー…』
これ見よがしに長い溜息を吐く。
こんなもん何の抵抗にもならないって分かってるけど、ちょっとした捌け口にはなる。
「…………………」
何を怒ってんの?全く着火点が分からない。
なおも喋らないローに私も無言を貫き通す。
船は無事入港し、ぞろぞろと甲板にクルーが整列し始めていた。
「……………不満か」
気を付けていないと聞き逃しそうな声でローがそう呟いた。
『…今更?不満に決まってんじゃん』
こいつと生活してて不満じゃ無い日なんて無かった気がする。
重い吐息が聞こえ目をやると、至極不機嫌そうに宙を睨む横顔があった。
…またこの顔だ。なんで私の前ではこんな顔ばかりするんだろう。
「……お前はどうしたらいいんだろうな」
そう零すとローは船頭へと向かっていった。
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