Rainbow 5
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「ああ良かった。ここに居たんだね!」
息を切らして近寄るベポ。
『まさか探してくれてたの?』
感激してベポに近寄ろうとすると、突然放たれた凄まじい殺気に、私はその場に凍りついた。
黄猿さんの顔が、ガラリと変わっている。
『黄…猿さん…?』
「…そのツナギ、ハートの海賊団だねぇ…。この島に来てるのか、トラファルガー・ローはァ」
この人は………だれ…?
「お、お前、大将!」
ベポは歯を剥き出し、構えをとる。
「君はクルーかねぇ。まぁ手加減はしてあげるが五体満足とはいかないよぉ」
瞬きした後、目に映ったのはベポに向かって行く黄猿さんの足だった。
『ベポ!』
私は無我夢中で丸いお腹目掛けて走った。
「名無しさん!ダメだ!」
ダメだと言われても、勢い付いて止まれる気がしない。
絶対間に合わないと思った瞬間、全身にかかる風圧に体ごと吹っ飛ばされ、カフェテリアにあるテーブルに次々に突っ込んだ。
いくつもの皿やグラスを砕きながら店の柱にぶち当たり、やっと止まったと思えば、ガラガラと崩れる木片が頭を何度も打ちつける。
『…………っ…た……』
目に何かヌルヌルするものが垂れてきた…。コレ、絶対アレだ…。
「うわぁ、危ない危ない。もう少しで大怪我する所だったァ。君は向こう見ずだねぇ」
カツン、カツンと近寄ってくる足音に、顔を上げて文句のひとつでも言いたい。もう大怪我だよって言いたい。
残念ながら体中がミシミシきしんで、指先さえも動かないけれど。
「名無しさんちゃんが大切ものはコレかァ」
薄っすら目を開けると、眉尻を垂らした黄猿さんと目が合った。
「そしたら君の大切なモノは、わっしも守らなきゃねぇ。」
そう言って私の頭をワシャワシャと撫でる。
…ちょっとやめてください。それさえも体に響くんです。
「黄猿!よくも名無しさんを!」
「やめときなさいよォ」
―――ピシリ―――
「うわぁ!!」
『…ぁ………』
な…に…これ…
全身の毛が逆立って、気が飛びそうになる。
…何したの…?
かろうじて動く眼球だけで状況を把握しようと必死に動かす。
ベポは蹲り、上から黄猿さんが何かを話しかけていた。
「船長に言っときなさいよォ、見逃してあげるから早急に島を去るように。この子の度胸を無駄にしちゃいかんよォ」
「………ゥッ…なんで……」
「単純な話さぁ、わっしは名無しさんちゃんが大切なんだよぉ」
………………………
……………
意識が混濁する中、太くどっしりした腕が私の体を優しく抱きかかえた。
懐かしい匂いに幸せだった記憶が甦り、私はうわ言の様に同じ言葉を何度も呟く。
『…………っ……っ…』
―――そうかい、そう思ってくれたら嬉しいよォ…――
途切れとぎれの記憶の中、そう聞こえた気がした。
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