Rainbow 5
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『……待って!!』
狭い通路に入ると、その向こう側へ出ようとしている帽子の男に、届かない手を伸ばす。
するとピタリと止まった男はゆるりとこちらを振り返り、口元だけでにやりと笑った。
追い掛けていた筈なのに、私は得も知れぬ恐怖にその場に立ち竦む。
通路の出口が逆光になり表情が見えないが、この口元は忘れない。
間違いない、この、男だ。
「久しぶりだね。名無しさんチャン」
『…あ、あんた……』
「どう?この世界。ぶっ飛んでるでしょ?」
『ふ、ふざけないで…。元に戻してよ!』
「帰してあげるよ?ちゃんと仕事が終わったら、ね?」
そう言うと、男は小ビンをちらつかせた。
『それ返して!』
反射的に走りだし、男と距離を縮める。貰った物だから返して、で合ってるよね、なんて頭の片隅でやけに冷静な自分もいた。
「いい仕事をしてね、名無しさんチャン」
『何言って……え……?』
もう少しで小ビンに触れるという所で段々と霞んでいく男の手。
そんな筈は無いと体を掴もうとするが、触れたと同時に彼は消えてしまった。
私の手は虚しく空を掴み、よろけた体と共に大通りへ投げ出された。
『うわぁ!!』
慣性に従って進んだ先にぶち当たったのは、一面の白。
「危ないねーぇ」
誰かが私の体を支えながら、やけに間延びした声を出している。
『すっすいませ「ミネアーァ?」
『は?』
何の事だろうと顔を上げると、ひょっとこみたいに口を尖らせたオジサンが居た。
いや、まてよ。この人スゲェ似てる。ほら、北の国からだよ。
『くにぇ…「ミネアだねーぇ」
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