Rainbow 5
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「船長、あれは言い過ぎだぜ」
「そうだよ!名無しさんは女の子なんだから。スカートだってはきたいよ!」
「…煩ェ…」
言い過ぎた事くらい分かっている。
ただ、ムカついただけだ。
無防備に露出した恰好をして、気が付きゃ男に絡まれてやがる。
…これから先が思いやられる。
「俺…俺、名無しさんを探しに行ってくる!」
ベポは名無しさんの走り去った方向へ駆けて行った。
「あ!俺も行く!」
「お前は待て」
ベポに続こうとしたシャチを止める。
「何でだよ!二人で探した方が早いって」
「俺が行く。お前は残りの物資を船に積め。それと…」
シャチの持っている袋を指差す。
「…買い直して来い。長袖と長ズボンだ」
「………船長…。ここまできたら保護者みたいっすよ」
やれやれとでも言いたげに首を振るシャチ。
まだ顔に残る痣を色濃くしてやろうかと拳を握り締めた時、シャチの後方から走り寄って来る見慣れたキャップが目に入った。
「………ッ!船長!!」
「どうした、ペンギン」
こいつが慌てるなんて珍しい。冷静沈着を体現した様な男だ。
「今すぐ船に戻って下さい!明日の朝まで潜ります」
「何があった」
「…、…先程港に着いた船に、大将が」
「なんだと?大将クラスが何故だ」
「分かりませんが…大将単独で海軍は連れていません。何か私的な理由かもしれない」
「…チッ…お前らは船へ戻れ。俺はベポを連れ戻す」
「今貴方が出歩くのは得策じゃない。ベポは船の位置も、出航する時間も知っている。明日の朝、船を浮上して待ちましょう」
「待てよペンギン、名無しさんが宿に着く前に逸れたんだよ!」
「…ッ…何でそんな事に……。仕方ない、名無しさんは心配だが俺達は戻らないと…」
「………………」
「………船長、あの子はああ見えて強い。名無しさんなら大丈夫でしょう」
ペンギンが静かな口調で言う。
…アイツが強い…?
昨晩の彼女を思い出す。
ただ一人残される事に不安で崩れそうになっていた。
「せ、船長…」
シャチの戸惑った声にハッとする。
「……船へ戻るぞ」
「…いいのかよ…名無しさんの事はこのままで…」
俺はそれには答えず、元来た方向へと足を向けた。
どうしろと…
どの道、ここに置いて行くのに。
俺にどうしろと言うんだ。
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