Rainbow 4
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俺の隣で大人しく飲んでいた名無しさんは、ふと目を離した隙に、甲板に座り馬鹿笑いをするシャチやベポ達の輪の中へと入っていった。
まぁあいつらなら大丈夫かと、そちらに少し視線を移した後、俺は引き続きペンギンと航路の話を続ける。
明日着く島で名無しさんを降ろし、その次の島はアラバスタだ。
新聞の記事によると、酷い干ばつに見舞われ、更に激しい内乱が起きているという最悪の状況らしい。
出来れば長期間の停泊は避けたいが、何日でログが溜まるのか、着いてみないと分からない。
…次の島で出来るだけ食料を確保しないといけねぇな…
なにより名無しさんを降ろす島が治安の良いところで良かったと、ふと頭を過ぎった考えを即座に打ち消した。
女など今も昔も性欲処理の道具でしか無い筈だ。もちろん心配してやる必要など無い。
なら、なぜ手も出せない女を側に置き、離れた後の生活まで気に掛けてやるのか。俺は、矛盾していないか?
……全く分からねェ。
「船長…?」
ペンギンが訝しげに声をかける。
「…あぁ、聞いている。アラバスタでは目立った行動は控えた方がいいだろう。状況が状況だけに、海軍が集結する可能性もあるからな」
そう返したにも関わらず、ペンギンは返事をしない。徐々に彼の目線は落ちていき、手に持ったグラスが置かれた。
「………彼女を……」
「あァ?」
「………本当に、名無しさんを次の島で降ろすんですか?」
「……何を、言っている…」
一瞬、心臓がどくりと音を立てた気がした。今、俺はいつも通りの表情をしているだろうか。
「船長、俺は彼女がいる事で、貴方が変わってしまうのが怖かった。…けれど、今は逆だ」
ペンギンは帽子の鍔をあげ、俺の目を真っ直ぐに見る。
「今は…彼女がいなくなる事で、貴方が変わってしまうのが怖い」
目の前の視線に囚われる。それを逸らしたくて堪らなかった。このままだと、厄介なものが己の中から生み出てきそうだ。
「なにを…」
「自覚は無い…か。そうだろうな。俺が知る限り、今まで船長は女に気持ちを向けた事なんて無かった」
「…いい加減にしろ。何を訳の分かんねぇ事を言ってやがる。名無しさんは次の島で降ろす。決定事項だ」
深く息を吐き目を逸らすペンギン。
俺が分からねぇ事まで知ってる顔してやがる。不快でしょうがねェ。
「…了解。そろそろ見張りの交代の時間なんで俺は失礼します」
ペンギンは目を逸らしたまま立ち上がる。
「それと、そろそろ名無しさんを部屋へ戻した方がいいかと…」
ペンギンの目線を辿ると、シャチの膝に跨がり首に手を回して喚いている女がいた…。
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