Rainbow 12
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ローは顔を寄せると、戸惑いがちに親指で私の唇をなぞった。
その仕種に、最後まで私を気遣っているのだと、どれほどあの時の事を後悔していたのだろうと思うと、胸が締め付けられる。
私は安心させる様に緩く笑って、唇に置いたその手を取り、そっと頬を寄せた。
「…好きよ、ロー」
ほんの一瞬だけ泣きそうな顔をしたローは、私をきつく抱きしめた。
肩に埋めた横顔は、耳まで赤い。
『…ローは?』
私と同じ想いでいてる?言葉できちんと確認させてよ。
同じ速さで歩いてるって、ちゃんと安心させて欲しい。
「…お前はいつも言葉を求めるんだな」
耳元で響く苦笑混じりの答えに、私は少しの不満を込めて軽い溜息を吐く。
「……当て嵌まる言葉がねェ。どれも足りねェ」
掠れる声で耳を擽って、身を起こした彼は、赤く色付くその顔で私を正面から見つめる。
「それでも言葉が欲しいってンなら……近いのは…」
熱い視線が、胸を焦がす。
「…“愛してる”…」
涙が滲む。
なんで、嬉しいのに胸が痛むんだろう。
いつもこの男は私を色んな角度から苦しめて、そうやって後戻り出来ない私を、一体どこへ持って行くんだろう。
甘く痛む心臓に、手を置きギュッと押さえ付けた。
「誓え」
ローは私の手を退けて、握った拳をトンと置いた。
「お前のコレが止まるまで側に居ると」
『…ロー……』
「元居た世界を捨てろ。お前の住む世界は、俺の居るこの場所だ」
彼の顔がぼやける。視界を取り戻そうと一度瞼を閉じれば
浮かんで来る…
深夜のクラブ。腹に響く重低音、声を掻き消す喧騒と舐める視線、酒の匂い。
制服のまま繰り出した街。浮かれた足並みとはしゃぐ友人の声、見上げた空の四角い青。
育った施設の古い食堂。いつもいつも叱る先生が、後で必ず見せた笑顔。
手を離した両親は、最後に振り返ってこう言った。
“幸せになりなさい”
涙が頬を流れていく。思い出の欠片と共に。
雫を振り切り目を開けて、捕らえる視線を受け止めた。
もう、答えなんてとっくに決まってる。
きっと、私を見つけてくれたあの日から…
『ローが私の世界なんだよ』
にやりと笑う唇が近付く。大きな手が体を撫でる。
私はねだる様に首に腕を回した。
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