Rainbow 14
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「ミネアは、両親が亡くなる直前"偶然"故郷の叔父の元に預けられてな。研究所に入り浸っていた彼女が、生成方法を知っていると睨んでいたんだが、大将が相手ではウカツに手も出せない」
大男はのしり、とゾロに一歩近づく。その重みで瓦礫が耳障りな音を立てて割れた。
まるで、自分の怒りを表してでもいるかのように…
「だが、お前がその運命を変えた。彼女を大将の側から引き離した」
「……おれ…が……」
「…ミネアを海賊船で見つけたと、海軍から連絡が来た時には正直驚いた。あの黄猿が溺愛する姪を、危険を承知で手放すなんて思わなかったからな」
ゾロは糸が切れたようにふらりと揺れると、力無くその場に膝を突いた。
「…俺が迎えに行った時には、船は血の海だった。海軍は全滅、彼女は剣を構え、虫の息でこちらを睨み…それでも果敢に立っていた」
ゾロは瓦礫に激しく拳を叩きつけた。
その肩は見て居られ無い程に震えている。
「俺は死にゆく彼女に問いかけた。“どこに行きたい?”と…。ミネアは答えた。“叔父の元へ帰りたい”とな。俺はその通り故郷へ飛ばしてやった……だが……」
男は、ふっとゾロから目を離すと宙を見つめた。
「最期に彼女の頭に映った映像は、黄猿の顔では無かった」
そう言うと、やり切れなく息を吐き出す。
「…俺がお前を知っているのは、そんな理由だ」
私は堪え切れず口許を覆った。
ゾロは、もうピクリとも動かなかった。
「話は終わりだ。お前は麦藁の代わりに苦痛を受けると言った…」
体を折り畳んでいたゾロはふらりと立ち上がると、それでも顔を上げ男を睨んだ。
「……あたりめぇだ。仲間に手出しはさせねぇ。…コイツにもな」
『…ゾロ…何する気なの…?』
嫌な予感がしてゾロの顔を覗き込んだ。
擦り傷だらけの顔。口許を無理矢理吊り上げ、引き攣った笑顔を見せる。
『名無しさん…悪ぃな』
ゾロの手がスッと私のうなじに回った。強い衝撃が走り、一瞬で頭が真っ白になる。
抱き留められた腕の中、霞んだ目で見えたのは、哀しく歪んだ顔だった。
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