Rainbow 14
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男が消えた空間をぼんやりと見つめる。
………エースを救う…?
どういう事?何か、彼に大変な事でも起きているの……
あの男は一体どうしたいのか。エースやローの心配するって事は知り合いなんだろうけど、“俺は会えない"って……その割には二人の近況を知ってるみたいだけど…。
言動の意図が読めない。
不気味過ぎる。
「名無しさん!!」
突然響き渡った大声にビクッと肩を竦める。
駆けて来る足音に振り向いて、溜息を吐いた。
『……ゾロか…。何で後ろから現れたの?』
「何言ってんだ。俺は引き返して来たんだぞ」
『…私が言うのも何だけど…そこまできたら、ちょっと可哀相だよね…』
「あ?何がだよ」
釈然としない顔で立ち竦むゾロから目を逸らし、霧の中にそびえ立つ城を見つめた。
『ねぇ、あの城不気味だよね。絶対悪い奴……「みんなあそこに向かってるみてぇだ。行こうぜ」
『…………私は帰……「帰り道分かんのか?」
『……ハァーー…』
私は諦めて、城に向かって歩き出した。
「…おい、お前は俺の後ろを歩け!」
突然腕を掴まれて、咄嗟に払い除けてしまう。
また少し、ゾロの顔が歪んだ。
「…お前、戦えねぇだろ…危ねぇからよ…」
俯いて私を追い越すゾロの仕種に、なんだか居た堪れなくなる。
…ゾロが悪い訳じゃ無いけど…
できるだけ遠ざけたいのに気付いたら近くにいるし、揚げ句の果てには二人きりになってるし。
…なんか空回りしてる気がする…
地面を見つめながら溜息を吐いたら、ゾロがぽつりと零した。
「………俺、何かしちまったか?」
顔を上げると、前を歩く白い背中がポツンと小さく見える。
その姿が、心無しか寂しげに映って
『別に…何も…』
「…避けてんだろ、俺の事…」
『気のせいだよ…』
「……そうかよ…」
しばらく二人黙ったまま歩いた。
所々、ぬかるんだ道に足を取られて声を上げる度に、ゾロの背中がぴくりと反応する。
その後姿を見るのが、段々息苦しくなってきて…
『……私は…ミネアさんじゃない…』
「……あ?」
ゾロはピタリと立ち止まり、こちらを振り返る
「何言ってんだおめぇ?」
私の手首には、ゾロから譲り受けたブレスレットがある。もう片方の手でそれを外した。
『やっぱり私、これを持てない』
私はゾロに駆け寄り、ブレスレットを突き出した。
「……………」
『…もう、彼女と被せて私のこと気に留めなくてもいいから…』
「…………」
『……思い出すんでしょ?…なら私と一緒に居ない方が……』
ゾロの手が私に伸びたと思ったら顔に違和感が…
『…ッ…なにひゅる…!』
グイっと頬を引っ張られた。
「こないだの仕返しだろバーカ!…変な気を遣うぐれぇならお前は頭を使えアホ!アイツを被せる訳無ぇだろ。品性も知性も全然……っ!」
チッ、しょうもねぇ、そう言って私から手を離したゾロは、ペッと道端に唾を吐いた。
…品性や知性って言った?今…
それってのは私と彼女、どっちが……って聞くまでも無いから聞かなかった事にした方がいい、か…。
それより……
『……本当に?私を見ても思い出さない?』
「しつけぇな!お前みてぇな桁違いに破天荒な女が、どこの誰と被るんだよ!勘違いすんな!」
『そ、そこまで言う…?』
「おら、とっとと行くぞ!」
ゾロは私の手のひらにあるブレスレットさっと掴むとくるりと踵を返し、スタスタと歩き出す。
微かに独り言が耳に届いた。
渡して悪かったな…って。
その後ろ姿を見てふぅ…っと息が零れた。
ほんとは、ずっとゾロと距離を置いたままサヨナラするなんて嫌だった。いつも気に留めてくれた理由が、私自身じゃないと思うと、なぜか少し寂しかった。
何だかんだ言っても、近くにゾロが居るとホッとするんだ。
一人ぼっちの私に手を差し延べてくれた…その存在が唯一の居場所のように感じて。
ゾロに走り寄って背中越しに声を掛けた。
『ありがとう…!』
勇気を出して搾り出した私の言葉に、ゾロは、あぁ…、って、ぶっきら棒な返事をくれた。
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