Rainbow 13
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「………おひ」
『アハハハハ!面白い顔!』
「何なんだひょ!お前ふざけんにゃ!」
俺の顔を両手でぐいぐいと挟み込み、弾けた様に笑う名無しさんに凄んでみるが、これじゃしまらねぇ。
コイツに酒なんて飲ませるんじゃなかったと、後悔しても、もう遅い。
今度は頬を摘んで横に引っ張りだした彼女の手を勢い良く払うと、床に手を付き倒れ込んだ。
ビックリしたようにこちらを見上げたその目は、段々と滲み、肩を小刻みに震わせる。
「わ、わりぃ…」
焦って肩に手を置くと、突然伸びて来た腕は俺の首に回った。
「…おい、おめぇワケわかんねぇぞ。こら、何してやがる!膝に乗るんじゃねぇ!!」
首をロックし、肩に顔を埋める彼女を引っぺがそうと手を掛けるが、止めた。
俺の肩が湿ってきたからだ。
「…泣いてんじゃねぇよ」
彼女の背中をそっと撫でる。
大丈夫だと、お前は一人じゃねぇんだと、言い聞かせるように。
『………ろー……』
肩ごしに僅かに聞こえた声に手が止まる。
胸に一瞬、何かが刺さった気がした。
「……俺は、お前の男じゃねぇよ…」
名無しさんは、まるでガキがぐずるみたいに首を振る。
宥める様に頭を撫でてやる。ついでに酷く乱れた髪を適当に直してやった。
「ここで泣いても何も変わんねぇぞ」
そう言い聞かせるが、いつまでもぐすぐすと鼻を鳴らし、一向に泣き止む気配が無い。俺は肩に手を置き、グイッと引き離した。
ちらりと顔を見れば、鳶色のガラス玉みてぇな瞳が滲んで揺れている。それが雫を落とす度に、また胸におかしな痛みが走った。
俺は、それを気のせいにして鼻を鳴らし笑った。
「俺は代わりにはなれねぇからよ、泣くならそいつの胸で泣け。しょうが無ぇから寂しくなったら話くらいは聞いてやる」
名無しさんは小さく頷くと、ありがとう、と呟いた。
その“ありがとう”が、俺はちっとも嬉しく無かったんだ。
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