Rainbow 13
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
--------
「…ハァッ……」
桟橋に手を付き濡れた体を持ち上げれば、膝を抱え踞る名無しさんが見える。俺は水を滴らせながら近付いた。
「…おい」
やんわり頭を起こした彼女は、俺の顔を見上げると瞳を見開いた。
『…ゾ…ゾロ、どうしたの?』
「どうしたのじゃねぇよ!突然消えやがって。どれだけ心配したと思ってんだ!」
『…あ、そっか…ゴメン』
そのアッサリした返事に全身の力が抜ける。
…さてはコイツ、俺の事忘れてやがったな。
名無しさんは溜息を吐いてまた膝に顔を埋める。
所々破けた服に、血の滲んだ体。かなり様子がおかしい。
屈んで彼女に寄り添うと、声を掛けた。
「何かあったのかよ…」
『………置いてかれた……』
「はぁ?」
顔を上げ、合わさった瞳は今にも零れ出しそうで。
『…だからっ…ロー…船長に、置いてかれたの…』
雫が一筋頬を伝い、それを両手で隠すと名無しさんは肩を震わせた。
…やっぱり、泣いちまった…。
泣きじゃくる彼女のか細い肩に触れようとし、ずぶ濡れな事に気付く。仕方無しに役立たずの腕を降ろし、努めて穏やかに言った。
「…名無しさん、落ち着けよ」
声は、聞こえてはいないのか。
彼女の鳴咽は酷くなる一方で、聞いてるこっちまで哀しくなる。
彼女が泣き止むまで辛抱強く待とうと思った。
悲痛な叫びに、何もしてやれない自分がもどかしかった。
少し静かになった彼女は鼻を啜り、目を伏せながら顔を上げると気まずそうに呟いた。
『……取り乱して、ごめん……』
その濡れた瞳と頼りなげな表情が、さわさわと俺の庇護欲を擽る。先程から頭を占めていた考えを決めるのに充分だった。
「…連れて行ってやる」
『……え?…』
「テメェの船に戻りたいんだろ?そいつに会って文句でも言ってこい」
安心させるように笑うと俺は立ち上がった。名無しさんは信じられない物を見るように俺を見上げる。
「一緒に来いよ」
見つかる保証なんてどこにも無ぇ。それでも俺は笑って言ってやった。
じゃねぇと、コイツが不安がるだろ。
.