Rainbow 11
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あいつと初めて出会ったのは.グランドラインに入って間もない頃だった。
ログポーズが指し示した小さな島。
目立たぬ岩場に着岸し、緑溢れる景色を眺めた。気候もよく何の変哲も無い島だ。流れる空気ものんびりしている。
ルフィとウソップはとっととメシ屋に直行し、女とサンジは買物だと。なら俺は鍛治屋へ行くと言うと、白い目で睨まれた。
…また船番かよ。
仕方無く甲板の柵にもたれてふて寝をしていた時だった。
……………。
……誰だ…。
船尾の方で気配がする。
全身の意識をその一点に集中させた。
ふいに顔前で鳴いた風に、瞬時に体を滑らせ仰向けのまま足払いを掛ける。
「…フフ…」
空を蹴った体を反転させ抜刀しながら着地すると相手を見据え構える。
「…お前、女か」
「オカマに見える?海賊さん」
目の前の女は悪びれも無く小剣を俺に突き付ける。
「冗談にしちゃタチが悪ぃな。海賊狩りか?」
…正直、驚いた。綺麗な女だ。
顔を見るからに年端はいかない、俺達と似たようなモンだ。
片手に構えた小剣は、白い手足に余りにも不釣り合いだった。
「貴方の腰に刀が見えたもんだから、お手合わせを、と思ってね」
そう言うと音も無く俺の脇腹目掛けて走り込む。
刀を垂直に振り上げ剣を薙ぎ払おうとすれば一寸早く引き戻す。
…何が手合わせだ。確実に急所狙いやがって。
「あるだけ刀を使いなさいよ」
女はそう言うと屈託無く笑う。
戦う事を楽しんでやがる。
…一太刀交えて分かる。こいつぁ筋が良い。
だが女相手に全力を出すのも気が引ける。
ましてや相手は小剣一本だ。
「お前にゃコレで充分だ」
俺は鬼徹を構え角度を変えると背面で打った。
峰打ちだ。
「…バカにしないで!」
小剣片手に受け止めた女の二の腕に筋肉が盛り上がる。
ビリビリと刀が震える。
…この細腕のどこからこんな力が沸いて来んだよ。
「この島で私に敵う男が居ないのが不満でね。強い男を探してるのよ」
「…ハッ。良かったな見つかって」
「とんだ自意識過剰ね!」
圧力を振り払い後ろへ跳び跳ねようとする足を、一瞬早く引っ掛けた。
重力に従い落ちる小さな体を覆い、甲板へ叩き付ける。
驚愕する顔の横に刃先を突き付けると俺は鼻で笑ってやった。
「女の割には中々やるじゃねぇか」
すると徐々に緩和する表情。女の口元が上がっていく。
「……ッつ……」
腹にチクリと広がる痛みに次は俺が驚愕した。
…もう一本隠し持っていやがったのか。
「あるだけ刀を使えって言ったでしょう」
そう言うと俺の腹に浅く入った小刀を抜き、手で胸を押し退けた。
「本気で来ないとつまらないわ」
「出来れば女は殺りたくねぇもんでな」
女は立ち上がり、服の汚れを払う。
「…まぁ、そうね。きっと私は殺されてた」
そう言いながら、また無邪気に笑う。
まるで、隣り合わせた死になど興味が無い様に。
俺はその違和感と空虚な瞳が気になって仕方なかった。
こちらを振り向いた女は小さな球体を投げて寄越す。
俺は彼女から目線を逸らさずにそれを受け止める。
「エターナルポーズよ。次の島を指してる。すぐにここを出た方がいいわ」
「…何でだ」
「ここには海軍の大将が居るの………私の叔父よ」
そう言うと女は寂しそうに笑った。
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