Rainbow 11
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……………………
裏町の酒場。
カウンターに座った男は今、殺人的な眼力で私を睨みつけている。
「お前はコレを誰から奪った」
ブレスレットを人差し指で回しながら、人聞きが悪い事を言っている。非常に不愉快だ。
『……貰ったのよ。おっさんに』
「ふざけんな。俺が女にやったんだ」
『…ミネアさんて人?』
「知ってんだろ!あいつは今どこにいる!」
「どこって……」
--“恋人からか”--
裏に刻まれた文字を見て、ローはそう言っていた。
…もしかしなくても、この人…
『…アンタ…ミネアさんの恋人だったの?』
「…あぁ…。でも戦闘で離れちまった…アイツは元気でやってんのか?」
『………………』
知らないんだ…亡くなった事。
男は眉を寄せ、前屈みで近寄ると更に畳み掛けるように言う。
「…なぁ、頼む。教えてくれよ」
…あの横柄な態度の男が、こんなに弱気な顔で懇願するなんて…。
黄猿さんは“騙された”と言っていたけど、本当だろうか。目の前の男を見る限り、そんな雰囲気は感じ取れない。
むしろ“相思相愛”…そんな言葉が浮かんでくる。
…亡くなったなんて知ったら、ショック受けるよね…
でも…
いつか会えると希望を抱いたまま、この先も生きて行くなんて。
…もう、彼女はこの世にいないのに。
いつの間にか冷たくなっていた指先を、両手で包んで固く握り締めた。
『……ミネアさんは亡くなったの。それは彼女の身内から貰ったんだよ』
--ダン!!
振動でグラスの酒が飛び散りテーブルを濡らした。
「嘘吐いてんじゃねぇ!」
『本当だよ!彼女の叔父さんが言ってたんだよ!』
「俺ァ知ってるんだ!世話んなってた叔父ってのは海軍なんだろ?…あいつを隠してんだよ!」
『……そんな…』
黄猿さんの震える肩を思い出す。
涙を流さずに泣くのは…きっと苦しい行為だろう。
『…黄猿さんは、嘘なんて吐いてない…』
「あぁ?」
『あの人はね、アンタと同じくらい彼女が大切だったんだよ!!』
…あの時、葉巻の煙の向こう側には、通りを見つめる遠い目があった。
どの記憶を手繰り寄せていたのか、幼い日の無邪気な彼女だろうか。
『きっと憎んでる…ミネアさんを連れて行った男を。死んだのはそいつの、アンタのせいだって…』
キッと男を睨み付けた。
「……俺の……」
男はくしゃりと緑色の髪を掴む。
「…ハッ…俺の…」
頭から外した腕が、だらんと下に垂れる。
「…そうか、俺が…殺した様なモンなのか…」
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