Rainbow 11
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……………………
『何で付いてくんの?』
「勘違いすんな。お前が俺の行く方向に歩いてるだけだ」
『自分の方向感覚に自信が無いって正直に言えば?』
「ハン!お前こそ女一人で不安なくせに」
『あんたが前歩くよりは、私一人の方が安心して進めるよ』
「口の減らねぇ女だな」
…なんかこういうやり取り久し振りだな。
誰かさんみたいにえげつない言葉選びはしない所が、まだ良識があるみたいだけど。
「おい、絶対こっちだぞ」
『根拠の無い事言わないでよ。真っ直ぐだってば』
「真っ直ぐ行ったら登っちまうじゃねぇか」
『上りがあれば下りがあんのよ!……冷た!』
ポツン、と額にひと雫落ちてきた。
「……雨か……。今晩、街が浸水するのに雨が降ると更に厄介な事になるな…」
『………は!?』
何て?いまサラっと恐ろしい事言わなかった!?
「知らねぇのか?どうやら今日は年に一度の高潮の日らしいぜ?」
『はぁぁー??』
私は男の襟首を掴んで激しく揺さぶる。
「おい!やめ…」
『らしいぜ?じゃないでしょ!何でもっと早く言わないの!!早く避難しないと!』
「だから俺に付いて来たら良かっただろーがよ!」
『全く会話が噛み合わない!』
「…チッ…離しやがれ!」
男は私の手を強引に振りほどく。
『…アンタと心中するなんて真っ平だからね…』
私の言葉を完全スルーする男。ソッポを向いてこちらを見ようともしない。
態度の悪さにカチンと来て目の前に手を振りかざす。
『聞いてんの!?』
パシッと私の手を掴んだ男はにやりと笑い森の中を指差した。
「な?俺のおかげだろ?」
男の指し示す方角には、光の集合体が微かにちらついていた。
『ま…街だ!!』
「まぁ、お前一人じゃぜってぇ不可能だったな」
『………………』
ま、いいけどね。結果良ければ全て良しって言うし。
私はこの世界で忍耐力がレベルアップしたから別にムカついてないよ。
…ただ、そのポジティブさを少し分けて欲しいだけ。
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