Rainbow 9
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昨日も材料を買いに寄ったスーパー。もうしばらく来る事は無いと確信していたスーパー。
『昨日の爆弾で味覚が崩壊しちゃったの?』
「いや、このままだと名無しさんの将来が心配だからな…」
俺も手伝うから、とエースはカートを押す。
一緒に料理を作るつもりらしい。
『エース、料理なんて出来るんだね』
「たまにコックが怪我しちまったら皆が当番で作るんだよ」
…顔も性格も良くて料理も出来るなんて、どんだけ欲張りなんだ。神様ってやっぱり不幸平なんだなぁ。
私は棚から缶を取ると何気なくカゴに入れた。
「あっ!今入れたの酒じゃねぇか!絶対ダメだからな!」
…チッ、ばれた。
ぽいぽいと材料を掴んでは入れて行くエースの後ろをのんびり歩いていく。
…総菜買った方が絶対美味しいし安全なのに。
……………………
「……名無しさん、何を作るつもりなんだ?」
『何って、ハンバーグでしょ?』
「突然、肉を焼いてどうすんだよ」
『ん?とりあえず全部火を通さないと、夏だし』
エースは苦笑しながら火を止めた。
「これじゃ嫁に行けねーぞ?」
『いいよ!一生一人でも!』
「…ま、貰い手がなけりゃ俺が貰ってやるけどよ」
そう言うと照れたように鼻の頭を掻く。
今朝から何かエースの態度が変、ていうか分かり易い。
直球なんだもん。
でも、決定的な言葉は言わないで欲しい。
もうすぐエースは元の世界に帰るんだし…一緒には居られない。
それに…一緒に居れたとしても、私はその気持ちには………
………応えられない?
なんで?
包丁を持ったまま小首を傾げる。
……なんで?タイプじゃん。
……それとも誰か他に…
脳裏にフッと笑顔が浮かんだ。いつもの皮肉な笑みでは無くごく自然な…
『…んなアホなぁ!!』
--ドスッ!!--
まな板に突き刺した包丁がビーンと音を立てて振幅する。
落ち着け私…!頭を冷やせ。そんなこと世界がひっくり返ってもある訳無い!でも世界が何度かひっくり返って私はここに居る訳だしな!!
あぁもう分かんない…。
錯乱した頭をガシガシと掻きむしる。
「……名無しさん……」
エースの青ざめた表情を見て我に返った。
『あ、あは、ゴメンゴメン。闘魂注入してたんだ。さっ殺ろうか!』
ズボッと包丁を引き抜くとそれを逆手に構えた。
エースは固まったまま動かない。
「…いい、俺が作るから…。きっと、疲れてるんだろ…休んどけよ。ほら、いい子だから刃物は置け…」
私の手からそっと包丁を取り上げたエースは後手に隠した。
まぁ、作らなくていいんならラッキーだけど。
……変なの。
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