Rainbow 1
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土曜の夜はいつものクラブ。
化粧はバッチリ、セットも完璧。このキャミワンピは予約待ちで昨日買ったばかりだし。
自慢の顔とスタイルで、今日も一夜限りの男を探す。
「ねぇ、名無しさん。あそこで踊ってる人、チョーカッコイイ!行ってくるね!」
友達はそう言って、人込みの中、ダンスホールへ向かって行った。
私は重低音と喧騒に身を任せながら、一人カウンターへ向かう。
セフレのボーイはいつも酒をサービスしてくれるのだ。
絡み付く視線や手をゴミを払うように振りほどき、カウンターに向かって叫んだ。
『テキーラ!』
カウンターごしに女性客と話していたボーイが振り向き、私を見ると満面の笑みを見せる。
するとふいに、すぐ隣で聞こえた声。
「うるさいな。耳の横で叫ばないでくれる」
『はぁ?』
私は目を見開き、隣を見遣る。
黒いハットを深く被った男が、グラスを片手に座っていた。
見た事の無い男だ。
「だからさぁ、叫ばないでよ。うるさい」
その言い方にカチンとくる。
…こいつ、誰に向かって言ってんの?
男を睨みつけると、ハットの鍔から覗く口元が、薄く笑っているような気がした。
……気に食わない!
『あんたさぁ、見ない顔だから言っといてあげる。私はここの女王なんだよ』
すると男は、「俺こんなところ来た事ないから」と言って、困ったように首を傾げた。
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