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夕闇は道たづたづし 上

「なんだ、この船は」

今俺が張り込んでいるのは港の船着場である。
船と言ってもただの船ではない。宇宙船だ。

ここには違法船と呼ばれる数々の船が停留する。
薬物を運んだり闇商売を行ったりと兎に角治安が悪いのだ。真選組にて近々此処を一斉戦場する事になっていたが...つい最近まであった船は消え失せ、代わりに大きな宇宙船が止まっていた。

異様な空気がそこにはあった。
大きな壁のような船が海を隠している。

そして聞こえるのは静かな波の音だけ。


...明らかにおかしい

これだけ大きな船なのに見廻りや見張りが一人もいない。

でも副長の読み通りターミナルではなく港に姿跡はあった。誰もいない今がちょうど良い、副長に連絡を

「君はひじかたとーしろを知ってる?」
「...え?」

その声と同時に耳に当てていた携帯電話後ろへ抜かれた。

瞬時に振り向くと真後ろに立っていたのは大きな背の若い男——。

副長を、知っているかだと...?

「ねぇ?聞いてる?」

頭は追いつかないが、これだけは分かる

「どうして、その名を」
「さっき殺そうとした男からその名が出てきたから。何か有名人らしいけど」


副長の命が危ない...



その男はニコニコと笑顔を見せた後、奪った俺の携帯を見つめだした。

「これ、前の男が持っていた物とは違うけどこれも携帯電話ってやつ?ところで君は誰?」
「...ひっ」

少ししゃがみ俺と鼻先が擦れる具合に顔を近ずけ目を合わせてくるこの男からはあの船と同じような、異様なオーラがでている

「そんなにびっくりして一体どうしたの?それより君は此処で何をしてたの」

この男は、この男は——————危険だ。

逃げろ、そう脳が全身に伝えるが思うように身体が動かない。

「答えれないってことはもしかして偵察ってやつ?俺そーいうの嫌いなんだよねぇ。悪いけど


死んでもらうよ」
「えっ...」



一瞬だった。

「...がっ...はぁ...!!」
「ごめんねーちょっと痛いかも」
「...うっああああああああぁぁぁ!!!!」

な、にが起こったんだ...痛い...痛すぎる!!

血がドクドクと流れていくのが分かる。
でもどこを怪我したのかも、何をされたのかも分からなかった。痛みのみ、俺を襲う。

最後に見た奴は、笑っていた。
そこから俺の記憶は途絶えてしまった。




夕闇は道たづたづし 上 〈〜完〜〉
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