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夕闇は道たづたづし 上

「おーい...シー...ぶかー」



「トシー大丈夫かー!?」
「っ!!!?」
「あ、起きた!よかったァ〜」
「うぇ、アレ、,......こ、近藤さん...」
「悪い悪い!いつもなら起きてる時間に起きてなくてちょっと心配しちまってよ...トシ寝惚けてる?」
「...あ、現実...か」
「なんか悲しそうな顔してたぞ...」
「え、あぁ...大丈夫。てか今何時だ遅刻か?!」
「いやいやまだ6時」
「はぁ...俺にしちゃァ寝坊だ...顔洗ってくる」
「おう行ってこい」

...寝た気がしねぇ。
何か、長い夢でも見ていた気がするが...思い出せない。
懐かしい...否、そんな感じでもない。
駄目だ。こんな朝っぱらから頭を使うのはやめよう疲れる。

4、5回顔に水をかけて手拭いで濡れた箇所を拭こうとした時、鏡に映っている自分が目に止まった。

「...なんだこれ。」

左手首に3本の傷が付いていた。刀傷ではない、まるで獣にでも引っ掻かれたような。
別に痛みを感じるわけでもなくそれはただ飾りのように付いていた。

「アレ?土方さんと厠で出会すなんざ何年ぶりですかィ」
「!総悟...別に何年ぶりでもねぇだろ」
「いや珍しいじゃねぇですかィ...何してんで?」
「あぁ、いや別に何も」
「.....ふーん」
「今日はちゃんと仕事しろよ」
「へいへい」

別に総悟に話すことでもない。ただの傷、この前の捕物の際に付いたものだろう。

とりあえず自室に戻り手首に包帯を巻いた。
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