夕闇は道たづたづし 上
妙な胸騒ぎがした。
だから気が変わらぬうちに、と真選組へ足を運んだ
「あれ?旦那じゃないですか」
「...お前............山岸くんだっけ」
「惜しいです山崎です。…どうされたんですか」
「...あーお宅の副長さんいる?用があんだけど」
「居ますよ。でも珍しいですね旦那が副長に用事なんて」
「まぁな...何、今から仕事?気ぃつけろよ」
「大丈夫です。旦那もあまり無闇に出歩くのはやめた方がいいですよ」
と山崎が一言言った。それを流し聞きをし俺は屯所の中に入った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━
「くっそ......」
痛む左手首を抑えながら声を押し殺す。
最初のうちは痛みなんか無かったはずだ...!
知らぬ間に肌に傷付いた3本が痛みと共に熱くなり心做しか深く刻み込まれ蚯蚓脹れのような状態になってきている。
「なんなんだよこの傷.......!!」
子供のように壁に八つ当たりをし声を押し殺し叫んだ。
気分は晴れない。
さっさと近藤さんに打ち明けてみるか...その方がきっと楽だろう。——だけど不安だ。本当にこれはただの傷なのか。そもそもどうして俺に——?奴が俺を狙っているのにはこの傷が関係しているからなのか?
分からない。全てにおいて。
最近みた夢もこの傷も敵も...そして
俺 も
「副長」
身体が震えた。
「...何だ」
「万事屋の旦那がお見えですが...」
「万事屋...?通すな忙しいと...」
「あーわりーけど勝手に上がらせてもらうぜ」
「ちょっ...旦那!!」
「いいからいいから俺とこいつダチだし...な?」
そう言う俺の目の色に驚いたのかそさくさと消えて行った隊士を横目に目の前の男——土方を見つめた。
「いつから俺とお前がダチになったよ......俺はてめぇと違って忙しいんだよ」
「大した用じゃねぇよ...忠告をしにきた」
「.........。そーいやてめぇが第一発見者だったな。その話だろ。言われなくとも分かってる。奴らは俺を狙っている」
「...その黒幕らしき男が俺らの元に依頼しに来たんだよ」
「!!」
「"この男"を探してくれ...そう言われた」
小さく折り畳まれた薄い紙を銀時の手の上からおずおずと受け取った。
「...」
「...なにか心当たりはあんのか」
ズキッ...と胸が一瞬痛くなった。
心当たり、だと?そんなの俺が聞きてぇよ
「てめぇの言いてぇことは言われなくとも分かってら。でももう遅せぇ...狙われちまったなら仕方ねぇ」
「俺はこの依頼を引き受けるつもりでいた。」
目が合った。
「ま、もう辞めたけどな」
「そうかよ」
「...殺されるんじゃねぇぞ」
「.......ああ」
その後も話は続いたが日も落ちてきたため万事屋を帰らせた。
そしてその晩、山崎は帰っては来なかった。
だから気が変わらぬうちに、と真選組へ足を運んだ
「あれ?旦那じゃないですか」
「...お前............山岸くんだっけ」
「惜しいです山崎です。…どうされたんですか」
「...あーお宅の副長さんいる?用があんだけど」
「居ますよ。でも珍しいですね旦那が副長に用事なんて」
「まぁな...何、今から仕事?気ぃつけろよ」
「大丈夫です。旦那もあまり無闇に出歩くのはやめた方がいいですよ」
と山崎が一言言った。それを流し聞きをし俺は屯所の中に入った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━
「くっそ......」
痛む左手首を抑えながら声を押し殺す。
最初のうちは痛みなんか無かったはずだ...!
知らぬ間に肌に傷付いた3本が痛みと共に熱くなり心做しか深く刻み込まれ蚯蚓脹れのような状態になってきている。
「なんなんだよこの傷.......!!」
子供のように壁に八つ当たりをし声を押し殺し叫んだ。
気分は晴れない。
さっさと近藤さんに打ち明けてみるか...その方がきっと楽だろう。——だけど不安だ。本当にこれはただの傷なのか。そもそもどうして俺に——?奴が俺を狙っているのにはこの傷が関係しているからなのか?
分からない。全てにおいて。
最近みた夢もこの傷も敵も...そして
俺 も
「副長」
身体が震えた。
「...何だ」
「万事屋の旦那がお見えですが...」
「万事屋...?通すな忙しいと...」
「あーわりーけど勝手に上がらせてもらうぜ」
「ちょっ...旦那!!」
「いいからいいから俺とこいつダチだし...な?」
そう言う俺の目の色に驚いたのかそさくさと消えて行った隊士を横目に目の前の男——土方を見つめた。
「いつから俺とお前がダチになったよ......俺はてめぇと違って忙しいんだよ」
「大した用じゃねぇよ...忠告をしにきた」
「.........。そーいやてめぇが第一発見者だったな。その話だろ。言われなくとも分かってる。奴らは俺を狙っている」
「...その黒幕らしき男が俺らの元に依頼しに来たんだよ」
「!!」
「"この男"を探してくれ...そう言われた」
小さく折り畳まれた薄い紙を銀時の手の上からおずおずと受け取った。
「...」
「...なにか心当たりはあんのか」
ズキッ...と胸が一瞬痛くなった。
心当たり、だと?そんなの俺が聞きてぇよ
「てめぇの言いてぇことは言われなくとも分かってら。でももう遅せぇ...狙われちまったなら仕方ねぇ」
「俺はこの依頼を引き受けるつもりでいた。」
目が合った。
「ま、もう辞めたけどな」
「そうかよ」
「...殺されるんじゃねぇぞ」
「.......ああ」
その後も話は続いたが日も落ちてきたため万事屋を帰らせた。
そしてその晩、山崎は帰っては来なかった。