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世界を一つに~with番外編~

 日が昇り、活気に満ち溢れる人の国にある王都の酒場で何やら人々がザワザワしていた。

それも無理はなく何せ魔騎士一軍隊隊長クレナイと二軍隊副隊長魔理沙が隅のテーブルでバチバチと火花をひらしていたのだ。 

不穏な空気に国民は息をのみ見守る。

ただ事ではないと誰もが思った。

誰も声をかけることが出来ない雰囲気の中酒場の扉がバンッ!と開け放たれた。

アー「二人ともー!どうしたの?二人がバチバチしてるって聞いてきてみたよー!」

噂を聞きつけたアーサーたちだった。

ダ「ホントだぜ、全く。喧嘩か?」

ヒ「二人が喧嘩なんて珍し…」

ク・魔「あ”?」

ふたりのドスのきいた声に駆けつけた三人はピシッと固まる。

いつもは何を言われても気にしないアーサーまでもが固まった。

それは、感じたからであろう。

本能的に、これは本当に危険だと。

三人を他所にクレナイ達は未だ火花をひらし睨み合う。

いつもは喧嘩などしない二人の物珍しい光景はすぐに王都中に広まった。



…硬直状態が続く中、野次馬は次々集まり非番の騎士や一般の国民までが酒場の外まで様子を見ようと来ていた。

ダン達は心配そうに机の横から二人を見る。

ク「…だからさ、魔理沙。さっきから言ってんだけど私は意見を変えるつもりはない。」

重苦しい中クレナイは口を開いた。

魔「貴様も分からん奴だな。しかし、私も変える気は無い!」

魔理沙も対抗し更に火花は散っていく。

ガッタっと双方立ち上がり互いを見据える。
























ク・魔「だから!一番はリンゴ(イチゴ)なんだって(なんだ)!」















一同「ハァ?!」




ダ「どー言うことだ?」

考えるのも億劫になってきたダンはクレナイ達に説明を求める。

魔「クレナイが!私はイチゴクレープが食べたかったのにリンゴクレープ何ぞ言う下手物を私に渡してきたのだ!」

ク「リンゴ美味しいーじゃん!イチゴなんてそんなの邪道だね!」

ヒ「つまり…話をまとめると。今日は非番の二人がクレープ食おうとして、魔理沙が欲しかったのはイチゴクレープだったのに待ってたらクレナイがリンゴクレープ二つ買って帰ってきたと?」

ク「そうです。」

魔「そうだ。」

しょうも無い。好みの問題だった。

ダ「そんなんで良くあそこまでバチバチ出来るな。」


ク・魔「そんなんとはなんだ!!」

二人は椅子に座り直して再び火花を散らす。


ク「…そうだ、ダン。ダンはリンゴとイチゴどっちがいい?」

ダ「俺?俺はイチゴかな?」

魔理沙は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

魔「ほら見ろ!アーサー、貴様はどちらがいい?」

アー「…うーん。どっちも!!」

魔「参考にならんな。」

ク「ヒロさんはどっちですか?」

ヒ「リンゴかなぁ?」

よっしゃと小さくクレナイは拳を握った。

てか、とダンは呟く。

ダ「両方食べてみたらどうだ?ものは試しってかんじで。」

ク「確かに。」

魔「食した事も無いのに否定するのもな。」

ダンの一言にクレナイ達は頷く。

何事も知ることから始めなければならず、固定概念は正確でない。

二人は椅子から立ち上がるとクレープ屋へと人の波を掻き分けながら進んだ。

ク「ん!酸味と弾けるような甘味が堪んない!」

魔「歯ごたえと控えめだが確かに感じる甘味…なかなか良いな。」

双方先程までけなし合っていたものを手に取り咀嚼して感銘の声を上げる。

ク「意外と美味しかったよ。」

魔「ふッ、良く出来ていたと言っておこう。」

無事、仲直りすることが出来たようだ。


アーサー達は二人が仲直りをしたのをみて王城へと帰った。










非番でもない三人が飛び出してワナワナと怒っているガルファが待ち構えていることをアーサー達は知らない。
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