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第一章

恐怖という余韻を残し銃声は姿を次第に消していった。

薄らにルルの母親と思われる獣人ビーストラーは目を開ける。

しかし、予想されたような惨劇は無かった。

ルル「ママ!みてみて!」

その声に目を伏せた他の獣人ビーストラー達も顔を上げる。

すると、そこにはクレナイの膝の上ではしゃぐルルとその足下に粉々になった手錠と足枷があった。

獣人達「っ!!!」

獣1「どーいうつもりだ⁉殺すんじゃないのか!」

獣人ビーストラー達が唖然とするなか、一人が声をあげた。

ク「どういうつもりもなにも、殺すなんて一言も言ってないですし。私はただ苦しいだろうと思ってはずしてあげただけですよ。」

クレナイはさも当然のように言ってのけた。

獣1「くっ!」

獣2「待て、俺らが壊せなかった錠をどうやって砕いたんだ‼」

獣人ビーストラー達はクレナイのような小娘が自分たちでも困難だったものを壊せるはずがないと思っているようだ。

獣3「これは封印魔法などがいりくんでつくられているように見える。」

獣人ビーストラーがいった通り、この錠は国の封印魔法、防御魔法に特化した魔導騎士が10日間、魔法をかけ続けたもので、そう簡単には壊れない。

ア「クレナイは、血のにじむような訓練を重ね日々、努力している。そんな錠なんざ朝飯前だ。」

当たり前だろう、と付け加えてアッシャーは言った。

獣5「…なぁ、こいつら。信じてみても良いんじゃないか?」

獣1「ハッ?!おま、何言って!」

獣2「俺も、話してみるだけいいと思う。こいつらなら助けてくれるかもしれない。」

口々に呟かれる意見にリーダー格の獣人ビーストラーがため息をついた。

獣1「分かった。話す。」

獣人ビーストラー達は覚悟を決めたように静かにクレナイを見つめた……






ガチャン!

バキン!

クレナイの指から放たれる魔弾が次々と獣人ビーストラー達に付けられた鎖を壊していく。

ク「まぁ、とりあえず自己紹介といこう。私の名前はクレナイ。この国で一軍副騎士長をしている。」

まずクレナイが名乗った。

ア「俺はアッシャー。形だけ参謀長をしている。クレナイの兄だ。」

ルル「おにーちゃん?似てないねぇ?」

まぁ、義兄妹だからね。とクレナイは言う。


ルル「ふーん。あ、私はね、ルルって言うの!8歳で、こっちはママ!」

ルルが指をさした獣人ビーストラー
の女がペコリと頭を下げる。

キ「私はキャリー。ルルの母です。」

クレナイはニコッと笑顔を向けて一人一人手当てしながら聞いていく。

クレナイは治癒魔法が使えないので携帯式回復魔法道具キュアポーションを使って癒やしていく。

獣1「…俺は」

全員の自己紹介が終わるころには傷は癒えいた。




…その頃、会議室では



ガ「何故、クレナイ副騎士長を尋問におくったのですか?」

ガルファは悶々とする疑問を尋ねた。

ジ「あいつは話し合いが得意だからな。」

ガ「…話し合い、ですか?」

魔「成る程な、確かにそうかもしれん。」

アー「どういうこと?」

魔「クレナイは今まで行った多種族との談話をすべて成功させている。それに、この私を軍に引き込んだのもクレナイだしな。」

ガ「では、あえてと言うことですか?」

ジンは首を縦に振り、ガルファはつまらなそうな顔をした。

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