第一章
ギイィ
重厚な扉が開き長い長い廊下をコツコツと歩くクレナイとアッシャー。
ア「会議室に行けば良いんだっけ?」
ク「うん。でも、その前に王様に挨拶しに王の広間に行かないと。」
すれ違う騎士たちは皆敬礼して、クレナイたちは、おはよう、と言いながらリンゴを渡していった。
おかげでリンゴはやっと片手で抱えられるほどになった。
曲がり角を曲がれば王の広間への扉が見えるというその時、ドン!とクレナイに誰かがぶつかってきた。
小さな衝撃だったためクレナイにそこまでのダメージはなかったが少しよろける。
ク「痛たた。誰?怪我無い?」
クレナイが見ればそこにいたのは薄ピンクの髪の少女だった。
ク「…って!姫様?!」
少女の名はルシェル・アストロズ。
人間族 の姫だ。
ル「あ、クレナイだ!ねぇ助けて!」
ク「助けるって一体なにから…」
?「ここに居たんですね、ルシェル姫。さぁ、王の邪魔になってしまいますから帰りますよ?」
侍女が現れクレナイは納得する。
ク「…あぁ、またお勉強サボって王のところにいたんですか?」
ルシェルは首とアホ毛を左右に揺らし
ル「違うよ!クレナイ達が来るって聞いて楽しみにしてたんだもん!」
ク「うれしいですが。お勉強しないと、立派な魔法も使えないですし。何よりルーク王子がおでかけしている今、王位継承者は貴方なのですから。」
ワーストの第一王子であるルーク・アストロズは8年前に突如として失踪した。
王子は当時14歳。姫は6歳だった。
前々より王位を次ぐ気が無いとは言っていたが書き置きもなくいなくなったために、当時国を挙げての捜索が行われたが見つからなかった。
国民に愛され、人柄が良く、よく城下町へと護衛も付けずに出掛けていた。
頭も良かったがルーク王子には一つだけ欠点があった。
魔力合併症と呼ばれる生まれつき体の中のマナの流れが凍り付いたように動かず、魔法おろか魔法道具すらまともに使えない病気にかかってしまっていたのだ。
国民や王は「魔法が使えなくても良い」と言ったが自分に厳しいルークは病気を非常に悔やんでいた。
ル「お兄ちゃんは帰ってくる?」
ク「はい、帰ってきます。」
侍女がルシェル姫を引っ張って行こうとしたがクレナイが責任を持つと言いルシェルと王の広間に行くことにした。
ク「じゃあ、一緒に王のところに行きますか?」
ル「うん!」
ク「これ食べて元気出してください。」
と言ってクレナイはリンゴを渡す。
ルシェルとクレナイとアッシャーは3人で王の広間に向かった。
?「ふむ、クレナイか。」
王、シャルガフは数段高い玉座に座り、自分の前に片膝をつけ頭を下げるクレナイを見下ろした。
シ「では、此度の件。宜しく頼んだぞ。なるべく穏便にな。」
ク「はい、最善を尽くします。」
シャルガフ王は戦いを好まない。
騎士団だってかつては魔法大戦の為に作られたが今は王の意向で自衛が主とされている。
王への挨拶が終わり、次は会議室に向かった。
コツコツと足を進める。
ルシ「あー!そう言えばねクレナイ!リズさんが後で今回の件について取材させてっていったよ!」
ルシェルが思い出したように声をあげた。
ア「あいつ、ホントに情報速いな。」
仕方ないなぁ、と言ってクレナイは懐からリンゴをアッシャーに渡して手帳を取り出しスケジュール確認を始める。
ク「まぁ、今日ならちょっとなら良いかなぁ?」
そうこうしているうちに会議室の前に着いた。
ク「じゃあ、行こっか。」
ガチャ ギイィ
ク「みんな、おはよ ?「何のんびりしてんですか!貴方は!」びっくりした。」
クレナイの挨拶とともに大きな声が爆弾のように投げ込まれた。
ア「うるせぇぞ。犬かよ、ガルファ補佐官。」
その声にガルファは青い目をキッと向けてエメラルドグリーンの髪を揺らしてしゃべり出す。
ガ「お前、参謀長だからといって調子に乗るなよ。そして、クレナイ一軍副騎士長!貴女は自分の立場がわかっていないのですか?!国民の前でヘラヘラされたら、騎士団の威厳というものが… ?「慎めガルファ。」すみません。」
ガルファが説教を始めたが止めたのは一軍騎士長のジンだった。
彼は金髪の間から鋭い銀の視線を浴びせた。
ジ「…他の軍のもの達も居る。場をわきまえろ。」
ガ「…はい。」
明らかにガルファは落ち込む。
?「まぁまぁ、ジンさん!ガルファさんも反省してるんだし、いいじゃないすか。」
笑いながら、三軍騎士長の席に座る水色の髪の少年は言った。
ガ「ありがとうございます。ダン三軍騎士長。」
ダン「いいっすよ別に!」
アッシャーとクレナイと姫は指定された席に着く。
姫は、今はいない二軍騎士長の所に座ることにした。
ジ「ではこれより、この度の獣人族 の処分について話し合う。」
ク「では、私が尋問するということでいいんですか?」
ジ「ああ。」
ク「…私よりも兄さんの方が良いと思うのですが。」
ダ「ま、国一番の策士だしね。」
ダンとクレナイがアッシャーを見るがアッシャーは欠伸ひとつした後、めんどくさーい
と言ってテーブルの上に足を乗せた。
ルシェルがお行儀が悪いと言っても、固いこと言うなとほっぺをぷにぷにした。
ジ「では、決まりだ。クレナイ、頼んだぞ。」
了解と返すクレナイを横目にガルファは面白くないという風に鼻を鳴らした。
ダ「…ん?なんか騒がしいな。どーっれっと!」
ダンは騒がしくなった広場を見るために席をたち窓から上半身を乗り出した。
ダ「お!二軍騎士団、帰ってきたみたいですよ‼」
~in広場~
民「キャー!アーサー様よ‼可愛い‼」
民「魔理沙様も凛としてお美しい‼」
キャーと民主から歓声を浴びるのは只今帰還した二軍騎士団。
二軍騎士団は戦闘に特化した軍隊。
はみだしもの集団と呼ばれもするが戦闘力は確かなものである。
中でも、
?「わーはっははは!アーサー、只今帰還した‼」
金色と白い鎧を身に付け、エクスカリバーを空に突き上げているのは二軍騎士長アーサー・オーギュスト。
名前の割りには意外にも彼女は女であるが剣の実力はピカ一。
しかし、生まれつき魔力を持っておらず魔法を使うことは出来ない。
世界でも稀な魔法が使えない魔導騎士である。
確かに剣は強い。
しかし、笑い声を聞いたら分かるであろうが欠点として、バカっぽいのである。そのため、良く舐められガルファなどにはとくにからかわれる対象とされる。まぁ、本人は気にしていないが…
二軍騎士団は騎士長のアーサーが止まってしまったため、何時もの事だが溜め息をつく。
?「脳がないのか、アーサーは。もういい、お前たち行くぞ。」
騎士「へ?いいんですか?」
?「構わん、ほおっておけ。」
困っていた騎士達を動かしたのは二軍騎士団副騎士長、魔理沙・ルートフィア。
黒い髪を揺らし、同じように星空のように光る黒いローブをなびかせて、魔理沙は王城に歩いていった。
少々、言い方がキツいところもあるがそれは魔法のせいのようなものなのだ。
魔理沙は有数な創造系の魔法であり、人々はその魔法を夢現創造と呼ぶ。
彼女は魔法の技術に長けている。
今でこそ受け入れられたものの、幼い頃は創造魔法が珍しかったこともあり魔界からきたと噂されたりしていた。
アー「ちょっと!魔理沙たち待ってよ!」
アーサーは置いていかれたことに気づき魔理沙たちの後を追いかける。
民衆たちは、どっと笑って二軍騎士団の帰りを喜んだ。
?「おい待て、アーサー!我をもっと民衆に見せつけよ‼」
その声は間違いなくエクスカリバーから聞こえる。
エ「我の美しき姿を‼神々しき輝きを‼」
アー「そんな暇ないよ!魔理沙の所に行くの。」
魔「…おい、アーサー。貴様、いつも独り言がでかいぞ!」
そう、エクスカリバーの声は持ち主であるアーサーにしかきこえない。
よって、周りから見ればアーサーの壮大な独り言なのだ。
アー「違うよ‼エクスカリバーが話しかけてくるんだもん‼」
魔「…またそれか。貴様の幻聴には付き合いきれん。」
魔理沙は振り返っていった顔を前に向けると部下とスタスタと歩いていった。
アー「待って!」
アーサーは必死に魔理沙たちを追いかけて、王城に向かった。
重厚な扉が開き長い長い廊下をコツコツと歩くクレナイとアッシャー。
ア「会議室に行けば良いんだっけ?」
ク「うん。でも、その前に王様に挨拶しに王の広間に行かないと。」
すれ違う騎士たちは皆敬礼して、クレナイたちは、おはよう、と言いながらリンゴを渡していった。
おかげでリンゴはやっと片手で抱えられるほどになった。
曲がり角を曲がれば王の広間への扉が見えるというその時、ドン!とクレナイに誰かがぶつかってきた。
小さな衝撃だったためクレナイにそこまでのダメージはなかったが少しよろける。
ク「痛たた。誰?怪我無い?」
クレナイが見ればそこにいたのは薄ピンクの髪の少女だった。
ク「…って!姫様?!」
少女の名はルシェル・アストロズ。
ル「あ、クレナイだ!ねぇ助けて!」
ク「助けるって一体なにから…」
?「ここに居たんですね、ルシェル姫。さぁ、王の邪魔になってしまいますから帰りますよ?」
侍女が現れクレナイは納得する。
ク「…あぁ、またお勉強サボって王のところにいたんですか?」
ルシェルは首とアホ毛を左右に揺らし
ル「違うよ!クレナイ達が来るって聞いて楽しみにしてたんだもん!」
ク「うれしいですが。お勉強しないと、立派な魔法も使えないですし。何よりルーク王子がおでかけしている今、王位継承者は貴方なのですから。」
ワーストの第一王子であるルーク・アストロズは8年前に突如として失踪した。
王子は当時14歳。姫は6歳だった。
前々より王位を次ぐ気が無いとは言っていたが書き置きもなくいなくなったために、当時国を挙げての捜索が行われたが見つからなかった。
国民に愛され、人柄が良く、よく城下町へと護衛も付けずに出掛けていた。
頭も良かったがルーク王子には一つだけ欠点があった。
魔力合併症と呼ばれる生まれつき体の中のマナの流れが凍り付いたように動かず、魔法おろか魔法道具すらまともに使えない病気にかかってしまっていたのだ。
国民や王は「魔法が使えなくても良い」と言ったが自分に厳しいルークは病気を非常に悔やんでいた。
ル「お兄ちゃんは帰ってくる?」
ク「はい、帰ってきます。」
侍女がルシェル姫を引っ張って行こうとしたがクレナイが責任を持つと言いルシェルと王の広間に行くことにした。
ク「じゃあ、一緒に王のところに行きますか?」
ル「うん!」
ク「これ食べて元気出してください。」
と言ってクレナイはリンゴを渡す。
ルシェルとクレナイとアッシャーは3人で王の広間に向かった。
?「ふむ、クレナイか。」
王、シャルガフは数段高い玉座に座り、自分の前に片膝をつけ頭を下げるクレナイを見下ろした。
シ「では、此度の件。宜しく頼んだぞ。なるべく穏便にな。」
ク「はい、最善を尽くします。」
シャルガフ王は戦いを好まない。
騎士団だってかつては魔法大戦の為に作られたが今は王の意向で自衛が主とされている。
王への挨拶が終わり、次は会議室に向かった。
コツコツと足を進める。
ルシ「あー!そう言えばねクレナイ!リズさんが後で今回の件について取材させてっていったよ!」
ルシェルが思い出したように声をあげた。
ア「あいつ、ホントに情報速いな。」
仕方ないなぁ、と言ってクレナイは懐からリンゴをアッシャーに渡して手帳を取り出しスケジュール確認を始める。
ク「まぁ、今日ならちょっとなら良いかなぁ?」
そうこうしているうちに会議室の前に着いた。
ク「じゃあ、行こっか。」
ガチャ ギイィ
ク「みんな、おはよ ?「何のんびりしてんですか!貴方は!」びっくりした。」
クレナイの挨拶とともに大きな声が爆弾のように投げ込まれた。
ア「うるせぇぞ。犬かよ、ガルファ補佐官。」
その声にガルファは青い目をキッと向けてエメラルドグリーンの髪を揺らしてしゃべり出す。
ガ「お前、参謀長だからといって調子に乗るなよ。そして、クレナイ一軍副騎士長!貴女は自分の立場がわかっていないのですか?!国民の前でヘラヘラされたら、騎士団の威厳というものが… ?「慎めガルファ。」すみません。」
ガルファが説教を始めたが止めたのは一軍騎士長のジンだった。
彼は金髪の間から鋭い銀の視線を浴びせた。
ジ「…他の軍のもの達も居る。場をわきまえろ。」
ガ「…はい。」
明らかにガルファは落ち込む。
?「まぁまぁ、ジンさん!ガルファさんも反省してるんだし、いいじゃないすか。」
笑いながら、三軍騎士長の席に座る水色の髪の少年は言った。
ガ「ありがとうございます。ダン三軍騎士長。」
ダン「いいっすよ別に!」
アッシャーとクレナイと姫は指定された席に着く。
姫は、今はいない二軍騎士長の所に座ることにした。
ジ「ではこれより、この度の
ク「では、私が尋問するということでいいんですか?」
ジ「ああ。」
ク「…私よりも兄さんの方が良いと思うのですが。」
ダ「ま、国一番の策士だしね。」
ダンとクレナイがアッシャーを見るがアッシャーは欠伸ひとつした後、めんどくさーい
と言ってテーブルの上に足を乗せた。
ルシェルがお行儀が悪いと言っても、固いこと言うなとほっぺをぷにぷにした。
ジ「では、決まりだ。クレナイ、頼んだぞ。」
了解と返すクレナイを横目にガルファは面白くないという風に鼻を鳴らした。
ダ「…ん?なんか騒がしいな。どーっれっと!」
ダンは騒がしくなった広場を見るために席をたち窓から上半身を乗り出した。
ダ「お!二軍騎士団、帰ってきたみたいですよ‼」
~in広場~
民「キャー!アーサー様よ‼可愛い‼」
民「魔理沙様も凛としてお美しい‼」
キャーと民主から歓声を浴びるのは只今帰還した二軍騎士団。
二軍騎士団は戦闘に特化した軍隊。
はみだしもの集団と呼ばれもするが戦闘力は確かなものである。
中でも、
?「わーはっははは!アーサー、只今帰還した‼」
金色と白い鎧を身に付け、エクスカリバーを空に突き上げているのは二軍騎士長アーサー・オーギュスト。
名前の割りには意外にも彼女は女であるが剣の実力はピカ一。
しかし、生まれつき魔力を持っておらず魔法を使うことは出来ない。
世界でも稀な魔法が使えない魔導騎士である。
確かに剣は強い。
しかし、笑い声を聞いたら分かるであろうが欠点として、バカっぽいのである。そのため、良く舐められガルファなどにはとくにからかわれる対象とされる。まぁ、本人は気にしていないが…
二軍騎士団は騎士長のアーサーが止まってしまったため、何時もの事だが溜め息をつく。
?「脳がないのか、アーサーは。もういい、お前たち行くぞ。」
騎士「へ?いいんですか?」
?「構わん、ほおっておけ。」
困っていた騎士達を動かしたのは二軍騎士団副騎士長、魔理沙・ルートフィア。
黒い髪を揺らし、同じように星空のように光る黒いローブをなびかせて、魔理沙は王城に歩いていった。
少々、言い方がキツいところもあるがそれは魔法のせいのようなものなのだ。
魔理沙は有数な創造系の魔法であり、人々はその魔法を夢現創造と呼ぶ。
彼女は魔法の技術に長けている。
今でこそ受け入れられたものの、幼い頃は創造魔法が珍しかったこともあり魔界からきたと噂されたりしていた。
アー「ちょっと!魔理沙たち待ってよ!」
アーサーは置いていかれたことに気づき魔理沙たちの後を追いかける。
民衆たちは、どっと笑って二軍騎士団の帰りを喜んだ。
?「おい待て、アーサー!我をもっと民衆に見せつけよ‼」
その声は間違いなくエクスカリバーから聞こえる。
エ「我の美しき姿を‼神々しき輝きを‼」
アー「そんな暇ないよ!魔理沙の所に行くの。」
魔「…おい、アーサー。貴様、いつも独り言がでかいぞ!」
そう、エクスカリバーの声は持ち主であるアーサーにしかきこえない。
よって、周りから見ればアーサーの壮大な独り言なのだ。
アー「違うよ‼エクスカリバーが話しかけてくるんだもん‼」
魔「…またそれか。貴様の幻聴には付き合いきれん。」
魔理沙は振り返っていった顔を前に向けると部下とスタスタと歩いていった。
アー「待って!」
アーサーは必死に魔理沙たちを追いかけて、王城に向かった。