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短い童話風な話

ある少女が穏やかな川で遊んでいると、か川上から一本の枝が流れてきました。
枝の上には一匹の蟻が載っており、枝の上を右往左往しています。
可哀想に思った少女は枝をそっと拾い上げますと、岸へと上げてあげました。蟻は枝から降りると何処かへ去っていきました。
その夜、少女の夢に蟻が出てきました。
「助けてくださってありがとうございます。私は女王蟻で、新たな巣の場所を探している時に川に落ちてしまったのです。貴女に何かお困りの方があれば、蟻にお申し付け下さい。きっとお力になります」

さて、それから数年後、街へ出かけていた少女は運悪く賊に攫われてしまいました。牢屋の中でも、賊の男達が少女をどこに売り飛ばすか、いやいや味見をしなければと不穏な言葉を交わしているのが聞こえます。逃げ出そうにも牢屋は頑丈ですし、少女の手には木の手枷がついてきます。
ふと壁をはっている蟻を見つけた少女は、いつかのことを思い出した。
「ねぇ、蟻さん。私、今とっても困っているの。助けてくれない?」
蟻に話しかけてみる少女でしたが、蟻は何処かへ去ってしまい、少女はがっくり肩を落としました。
ところがしばらくすると、蟻がわらわらとやってきて、少女の手枷を食い破ってしまいました。さらには牢屋の外からは男達の悲鳴が聞こえてきます。また、何十匹もの蟻が、牢屋の鍵を運んできました。
牢屋の外では、賊の男達が蟻の大群に襲われてのたうちまわっていました。目や手足を噛まれてパニックになっている賊達を見て、少女は今しかないと急いで牢屋から逃げ出しました。
無事家に辿り着いた少女は、その後毎日蟻に食べ物を供えるようになったそうです。
おしまい
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