短い童話風な話
猿に似た小さな妖精は、飛ぶことが出来ませんでした。その代わり、手足を使って器用に木々の間を飛んだら跳ねたりしていました。そして、時折森に迷い込んで来る人間を驚かせては面白おかしく暮らしていました。
ある時、羽を持った一人の妖精が羽根のない妖精を笑いました。
「地べたを這いずり回って惨めだね。私は羽根でこんなに軽やかに飛べるのに」
羽根のない妖精は怒りました。
「僕は自分を惨めだとは思わない。誰にだって個性があるものだろう」
しかし羽根のある妖精は彼の言葉に耳を傾けませんでした。
「人間を驚かせたって、私はあっという間に逃げられるけど貴方はそうじゃないでしょう? そのうち人間に捕まってしまうわね」
「ご忠告ありがとう。でも、僕だって十分に気をつけているさ。君の方こそ油断しないようにね」
他人を惨めだとあざ笑う者の考え方を変えることは困難です。それを知っている羽根のない妖精は早々に会話を切り上げ、羽根のある妖精がこない場所へと避難しました。
羽根のない妖精が自分の惨めさに気付いて姿を消したと思った羽根のある妖精は、けたけたと笑いながら辺りを飛び回ります。
軽やかに宙をかける自分はなんと素晴らしいのだろう! そう心の中で言うと、妖精はいつものように町に向かいました。
妖精にとって、人間にちょっかいをかけるのは習性のようなものです。羽根のある妖精はいつものように人間の家に近づいて覗き込むと、高いベビーベッドの上に赤ん坊しかいないのを見て喜びました。
赤ん坊を思い切り泣かせてやろう!
そう思って赤ん坊に近づいた妖精でしたが、なんということでしょう、赤ん坊のベッドには妖精除けの罠が仕掛けてありました。
妖精の羽は無残なものとなり、飛べなくなってしまいました。
ベッドの上に落ちた妖精は慌てて逃げようとしましたが、日頃羽根でしか移動していなかった彼女は、高いベッドから羽根なしで降りることが出来ず、直後に来た人間に捕まってしまいました。
しばらく経ってから、森に来た人間の噂話で、羽根のある妖精が人間に捕まったことを知った羽根のない妖精はため息をつきました。
「どんな方法に対してでも、何度も被害があれば対策はされることが彼女には分からなかったらしい」
傲慢さは視野を狭め、警戒心を薄くするものだな、と再度妖精はため息をつきましたとさ。
おしまい。
ある時、羽を持った一人の妖精が羽根のない妖精を笑いました。
「地べたを這いずり回って惨めだね。私は羽根でこんなに軽やかに飛べるのに」
羽根のない妖精は怒りました。
「僕は自分を惨めだとは思わない。誰にだって個性があるものだろう」
しかし羽根のある妖精は彼の言葉に耳を傾けませんでした。
「人間を驚かせたって、私はあっという間に逃げられるけど貴方はそうじゃないでしょう? そのうち人間に捕まってしまうわね」
「ご忠告ありがとう。でも、僕だって十分に気をつけているさ。君の方こそ油断しないようにね」
他人を惨めだとあざ笑う者の考え方を変えることは困難です。それを知っている羽根のない妖精は早々に会話を切り上げ、羽根のある妖精がこない場所へと避難しました。
羽根のない妖精が自分の惨めさに気付いて姿を消したと思った羽根のある妖精は、けたけたと笑いながら辺りを飛び回ります。
軽やかに宙をかける自分はなんと素晴らしいのだろう! そう心の中で言うと、妖精はいつものように町に向かいました。
妖精にとって、人間にちょっかいをかけるのは習性のようなものです。羽根のある妖精はいつものように人間の家に近づいて覗き込むと、高いベビーベッドの上に赤ん坊しかいないのを見て喜びました。
赤ん坊を思い切り泣かせてやろう!
そう思って赤ん坊に近づいた妖精でしたが、なんということでしょう、赤ん坊のベッドには妖精除けの罠が仕掛けてありました。
妖精の羽は無残なものとなり、飛べなくなってしまいました。
ベッドの上に落ちた妖精は慌てて逃げようとしましたが、日頃羽根でしか移動していなかった彼女は、高いベッドから羽根なしで降りることが出来ず、直後に来た人間に捕まってしまいました。
しばらく経ってから、森に来た人間の噂話で、羽根のある妖精が人間に捕まったことを知った羽根のない妖精はため息をつきました。
「どんな方法に対してでも、何度も被害があれば対策はされることが彼女には分からなかったらしい」
傲慢さは視野を狭め、警戒心を薄くするものだな、と再度妖精はため息をつきましたとさ。
おしまい。