このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

短い童話風な話

暑い暑い砂漠の街に、旅人が訪れました。
肌を焦がすような日差しの中、ようやく現れた街に旅人は大喜びです。
「水を飲もう!酒を飲もう!これで生き返るぞ!」
しかし街中の店は一つとして開いていません。そして、人っ子一人道を通りかかりません。家の扉は固く閉ざされ、それらしい水場も見当たりません。
旅人はあちらこちらを彷徨い、日が傾いてきたころ、ようやく日陰にうずくまるように座っていた物乞いを見つけて話しかけました。
「この街に人はいないのですか?」
「いいや、みんな昼間は休んでいるのさ」
「では水を買うにはどうすればよいでしょう。公共の井戸や水道はありますか?川は?」
「そんな恐ろしいものはないよ」
「ではあなたはどうやって喉を潤しているのです?」
すると物乞いはにたりと笑い、牙を剥きました。
「こうやってさ!」
物乞いの吸血鬼は旅人に襲いかかると、血液を一滴残らず吸い尽くしてしまいました。
おしまい
3/11ページ
スキ