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短い童話風な話

 その女学生が訪れた海辺の町は、人魚伝説がありました。人魚伝説を熱心に調べる女学生に、ルビーのように赤い目をした娼婦が声をかけました。
「人魚のとっておきの話を教えてあげるわ」
 連れて行かれたのは大通りにある金持ち向けの高級レストランでした。その裏口から地下に降り、今は使われていない様子の通路を使い、密やかに忍びこみます。
「人魚を食べると不老長春が得られると言うけれどね」
 娼婦が指し示した調理台の上には、若い女性の上半身と、頭を切り落とした大きな魚の身がありました。
「どいつもこいつも、これは人魚だから食べても問題ないと嘯いているのよ」
 娼婦が持ち上げた上着の下には、腹を真横に切った傷跡がありました。
「さあ、あなたは早く逃げて。人魚にされてしまうわ」

 女学生が警察を連れてレストランに踏み込むと、その奥、VIPルームの水槽には、女性の上半身と魚をつぎはぎした人魚が展示してありました。
 その人魚の瞳は、ルビーのように赤いものでした。
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