思考回路は
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オルトくんに自分が居る棚の二つ程奥の本棚を頼み、目の前の本棚からジャンルの違う本を抜き取る。それを何回か繰り返して抱えきれなくなったところでそれらを正しい場所へ戻すべく棚を離れた。
オルトくんの作業している棚を通り過ぎる。彼の周りには魔法だろうか数冊の本が浮いていた。あぁ、この感じなら今日中に終わるかもしれない。あたしも手中の本に集中しなければ。魔法が使えないあたしは地道に作業していくしかない。何度も彼方此方と移動して、漸く最後の一冊になった。
(あ……届かない。)
最後の一冊を収める場所は本棚の一番上で、あたしの背では届かない。近くに台が有るからそれを使えば届くだろうが、あの台は古いからだろうか酷く不安定であまり使いたくない。目一杯背伸びをしてみるが、それは無駄に終わった。
「こっちは終わったよ!アイさんはどう?」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて試しても無理で、諦めて台を持ってこようかと思っているとオルトくんが顔を覗かせる。あとこれだけだと手にしていた最後の一冊を軽く振るとオルトくんが近寄って来た。
「あ、一番上なんだね。僕が収めるよ!」
「え、でもオルトくんも届かないでしょ?台持ってくるよ。」
「大丈夫!僕に任せて!」
そう言うと、彼はぶつぶつと何かを唱え始めた。あの高さに本を収めるには……から始まり、謎のカウントが始まる。エネルギー充填70%完了、80%、90%……と、そこで何だか嫌な予感がして彼の名前を叫ぶが間に合わなかった。彼のカウントは100%に到達し、勢い良く本を投げる。そこまでは良かった。
本は本棚にスポリと収まりはしたが勢いを殺せず本棚が揺れる。ぐらりぐらり、と。あぁ、これはまずい。
「オルトくん!!」
あたしは咄嗟にオルトくんを庇うように彼に飛び付き、彼の頭を抱える。それを待っていたかのように本棚は倒れた。
どさどさと本の落ちる重たい音がする。幸いにも正面の本棚が支えになり本棚の下敷きになる事は避けられたが、背中に当たった本は相当な数で、明日には痣になるだろう事は容易に想像できた。それでも、オルトくんを庇えただけでも十分だ。
「オルトくん大丈夫……?」
胸に抱えたオルトくんを解放しながら彼の目を覗き込む。彼はパチクリと瞬きをしたかと思うと、今度はぼんっと音を立てて顔を赤く染めた。
「ごめんねアイさん!僕ショートしちゃったみたい!兄さんに直して貰わないと!」
オルトくんは早口で捲し立てキョロキョロと視線を彷徨わせたまま図書室を出て行った。それはまぁ、いいのだけど。これ、今日中には片付け終わらないよなぁ。あたしは足元に散らばった本を数冊拾い、重たい溜息をついた。
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