嘘という名の毒を
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ルークの助け舟にアイは一つ深呼吸をして、そのままカップに残っていた紅茶を飲み干し席を立つ。御馳走様、と走り去るアイの背中にルークは軽く手を振って見送った。
「
「あの人の美しさは偽りじゃないわ。その呼び方をやめなさい。」
例えアタシが口出しをした結果だとしても、それをやり遂げたのはあの人の力。その努力を偽りだなんて心外で、少し強めにルークを窘める。その言葉を口にした唇に紅茶を流し込むと少しだけ気持ちに余裕が出来て、漸く紅茶を味わう事ができた。ルークはノンと首を横に振る。
「キミが磨いた美しさを疑ったりはしないさ。彼女の美しさは"最初から"本物さ。」
そうでなければ
「キミが卒業してしまえば
焦ってなんか、と誤魔化しかけてやめた。どうせルークに嘘は通用しない。アタシは一つ溜息を吐き出して視線をテーブルの中心へと向ける。そこにはアイの為に用意したお茶請けのマカロンが鎮座していた。
「卒業まで待てるわけないじゃない。アタシが磨いたのよ。他の男が目をつけない筈がないわ。」
成る程、とルークは考え込むように顎に手をやる。それからゆっくりと口を開いた。
「キミは彼女の事になると視野も狭くなるらしい。恋は盲目とは興味深いね。」
アタシが言及する前に、ルークは空になったティーカップをソーサーに置き、今日のお茶会はお開きにしようと片付けを始める。こうなったら幾ら問い詰めても答えはしないのは分かっているからアタシも諦めて席を立つ。アイが口を付けなかったマカロンは小じゃがにでも差し入れればいい。後は任せるわ、と談話室の扉に手をかけると手を動かしながらルークが口を開く。
「何も心配する事はないさ。彼女はキミに少し
そんな事は分かっているのよ。それでも不安が拭えないだけで。
アタシは振り返る事はしないまま談話室を後にした。
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